2023 Fiscal Year Research-status Report
食品成分による効果的なTreg細胞誘導を介した炎症・アレルギー疾患の予防法開発
Project/Area Number |
23K10930
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
吉田 裕樹 九州保健福祉大学, 薬学部, 准教授 (90469411)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 制御性T細胞 / 食品成分 / DNA脱メチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナイーブT細胞から分化してできる制御性T細胞(Treg細胞)は、過剰な免疫応答を抑制する働きをもつ。そのため、人為的なTreg細胞の作製や誘導は、炎症性疾患やアレルギー疾患等の新規予防・治療法の開発につながる。 Treg細胞の誘導には、マスター遺伝子であるFoxp3遺伝子の発現が必須である。しかしながら、Foxp3遺伝子の発現は不安定であり、Treg細胞の機能に影響を与える。近年、Foxp3遺伝子の安定的な発現には、DNA脱メチル化が関与していることが報告されている。 そこで本年度は、数種類の食品成分を用いて、Foxp3遺伝子発現とDNAメチル化・脱メチル化に関与する酵素(DNMTsおよびTETs)の発現に対する影響を検証した。また、Foxp3遺伝子のCNS2 (Conserved Non-Coding Sequence 2) 領域のDNAメチル化を解析した。 Jurkat T細胞を用いた実験において、アピゲニン、ゲニステイン、ケルセチン、バイカレイン等の食品成分は、Foxp3遺伝子の発現を有意に増加させた。また、ゲニステインとケルセチンは、DNMT1の発現量を減少させ、ケルセチンやバイカレインは、TET1、TET2の発現量を増加させた。さらに、TET酵素反応の補因子として機能するビタミンCと食品成分の併用は、Foxp3遺伝子の発現を安定させる傾向が見られた。一方、Foxp3遺伝子のDNAメチル化解析においては、食品成分による影響は観察されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
効果的にTreg細胞を誘導する食品成分の候補を絞ることができた。しかしながら、当初予想していたDNA脱メチル化に対する明確な影響は観察されなかったため、その作用機序が不明である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、マグネチックセパレーション法で分離したマウス由来ナイーブT細胞を用いて、候補物資が実際にTreg細胞を誘導するか確認する。また、マウスに候補物資を経口投与した後にTreg細胞数の変化を測定することで、In vivoにおける影響を検証する。
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Causes of Carryover |
物品発注の際に会計課を介して実施した相見積もりの結果、予定よりも安くで購入できたため次年度使用額が生じた。残予算は、試薬やディスポーザブル器具の購入に充てる。
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Research Products
(1 results)