2023 Fiscal Year Research-status Report
ステロイドクオリティの栄養生理機能発現に求められる構造要件の解明
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23K10965
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
城内 文吾 長崎県立大学, 看護栄養学部, 准教授 (00548018)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 食事ステロイド / リポクオリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
リポクオリティという概念において、主に解析対象とされてきた脂質分子は脂肪酸、トリアシルグリセロール及びリン脂質であり、コレステロールなどのステロイドはその摂取量の少なさも相まって十分に理解されていない。本研究の目的は、食事ステロイドを対象としたリポクオリティ研究であり、動物実験において各ステロイド分子種の摂取により発現する生理機能を詳細に捉え、生理機能発現におけるステロイドの構造要件を明確にすることである。2023年度は、コレステロールの腸管内代謝産物の1つとしても知られる4-Cholestenone(4-STN)に注目し、4-STN経口摂取がメタボリックシンドロームモデルの一つであるdb/dbマウスの病態発症に及ぼす影響を評価した。その結果、4-STN摂取により脂質異常症(高脂血症および肝臓コレステロール蓄積)ならびに高インスリン血症の改善が認められることを見出し、その作用機序として糞便中への中性ステロイド排泄量の増加、肝外組織におけるコレステロール合成の抑制が関与することを明らかとした。また、インスリンの分泌履歴を反映するといわれるC-ペプチドの血漿濃度が4-STN摂取により有意に低下し、血漿グルコース濃度および肝臓グリコーゲン量も低下傾向を示したことから、糖の利用あるいはクリアランスの促進が高インスリン血症の改善に寄与することが示唆された。これら4-STNの生理機能発現の活性本体を探るべく、血漿および肝臓中の4-STNとその代謝物を測定したところ、4-STN自体は検出されず、代謝物であるCholestanolとCoprostanolの増加が認められたことから、4-STN自体が速やかに代謝される際に機能発現する、あるいは増加した代謝物が活性本体である可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した成果(4-STN摂取による脂質異常症・高インスリン血症の改善)については、2件の学会発表として報告し、さらに学術論文としてまとめ、2024年5月13日現在投稿中である。以上より、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
脂質異常症の改善作用を有する4-STNが動脈硬化症の発症においても抑制的に作用しうるのか、動脈硬化症モデルApoE欠損マウスに給餌して評価を進めるとともに、4-STNの生理機能発現に、miRNAプロファイルや腸内環境の変動が関与するのかを探る予定である。
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Research Products
(2 results)