2023 Fiscal Year Research-status Report
Functional analysis of transcription elongation factors in mouse skeletal muscle tissue
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23K10971
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
佐藤 貴彦 藤田医科大学, 国際再生医療センター, 准教授 (30570775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 毅一 藤田医科大学, 国際再生医療センター, 准教授 (90392183)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 骨格筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋が機能するためには収縮と弛緩を繰り返す必要があるが、そのためのエネルギー供給や興奮収縮連関の制御を生涯維持し、その運動力学を支える構造が保たれる必要がある。また、骨格筋による代謝調節や液性分泌の役割の重要性も指摘されている。骨格筋が損傷を受けた場合、これに適応する反応を生じて、再生修復や肥大化などによって筋本来の機能を保つ必要があるが、この際、細胞内で行われるイベント全ては何かしらの遺伝子発現制御に依存する。筋形成・再生時に必要な遺伝子は現在までの数多く報告されているが、骨格筋中でこれらの根本的制御システムである転写・翻訳機構は未だ謎が多い。 骨格筋培養細胞C2C12を用いて、筋分化時に血清エクソソーム小胞により転写伸長因子Tceal5/7の発現が抑制されていることを見出していたが、個体中での機能、特に転写伸長に関わるメカニズムは明らかに出来ていなかった。このTceal5/7はTceal(転写伸長因子Sll様)ファミリーに属する転写伸長因子であり、X染色体上にクラスターを形成する遺伝子群に属する。その多くが脳神経系に発現してRNAポリメラーぜⅡと協調して転写伸長を行うと考えられているが、生体内で筋における機能報告が殆どない。今年度はマウス胚においてTceal5/7発現を調査した結果、発生期より骨格筋の源となる筋節でその発現を強く確認し、再生時においても筋幹細胞の分化に比例してその発現レベルが上昇することが明らかになった。これらの転写伸長因子の筋組織中での発生・再生時における役割を調査するために遺伝子改変マウスの作出に進んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度からTceal5/7遺伝子の欠損体を作出するためにCRISPR/Cas9によるゲノム編集を行う予定であったが、培養細胞においてマウスTceal5/7領域のdouble strand breakを誘引するDNA constructを用いて調べた結果、ゲノム中で当該領域を欠損したマウス胚が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後Tceal5/7-loxP導入マウスを作出するために、スケールアップして再度マウス胚への遺伝子操作作業を行う予定である。またTceal5/7遺伝子の制御機構を調査する上で、細胞自律的な制御だけでなく細胞外エクソソームの影響が存在することから、miRNAとTceal5/7 mRNAが相互作用する複合体を標的として考える必要があり、Tceal5/7遺伝子がmiRNAの修飾をうけるのかどうか生化学的手法を用いて筋細胞中のRNA-induced silencing complex (RISC)に取り込まれるか否かを同定し、標的miRNAが成長、老化とともに筋幹細胞や分化中筋細胞中でどのように発現してTceal5/7を制御するのかを生体での役割や機能について検証する研究を行う。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変実験マウス作成作業に遅れが生じているため。
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