2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on safety and efficacy evaluation focusing on estrogen-like action of health food materials and components
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23K10974
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Research Institution | National Institutes of Biomedical Innovation, Health and Nutrition |
Principal Investigator |
東泉 裕子 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所, 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部, 室長 (20360092)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | エストロゲン / 健康食品 / 安全性 / 有効性 / 薬用植物 / 健康被害 / 閉経後 |
Outline of Annual Research Achievements |
エストロゲンと似た構造と性質をもつことにより、弱いエストロゲン様作用を示す植物由来の食品成分はフィトエストロゲンと呼ばれている。現在、フィトエストロゲンを含む健康食品が数多く販売されているが、一方で、それらの健康被害も懸念されている。申請者らは、これまでに薬用植物である甘草を原料とした健康食品素材がエストロゲン活性を有し、閉経後モデルマウスにおける摂取は骨密度低下を抑制したが同時に子宮への影響も認められたこと等を報告している。しかし、エストロゲン様作用に着目した健康食品全体の包括的かつ系統的な解析は実施されておらず、安全性・有効性の両面からの評価方法も確立されていない。そこで、本研究では、薬用植物も含めた植物由来の健康食品素材や成分を対象としてエストロゲン様作用の包括的・系統的な検証を実施する。 すなわち、薬用植物も含めた植物由来の健康食品素材や成分のエストロゲン様作用について、①学術論文や健康被害情報を基に系統的レビューにより整理し、②レポーター遺伝子アッセイを用いたスクリーニング試験を実施し、②骨代謝における安全かつ有効な作用を閉経後モデル動物において明らかにする。本研究により、多くの植物素材や成分のエストロゲン様作用の評価が可能となれば、フィトエストロゲンの安全で有効な利用における科学的根拠が提供される。さらに、本研究成果により、健康の維持・増進において、多くの植物素材や成分をフィトエストロゲンとして安全かつ有効に活用することを可能とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度は、薬用植物を含めた食品素材・成分ついて、学術論文やヒトにおける健康被害事例を含めた情報を整理・解析し、エストロゲン作用に関する系統的レビューを行った。 系統的レビューを実施するに当たり、包含基準、除外基準、対象者、研究の種類等の条件設定を行うためにPubMedを用いてプレレビューを実施するとともに、検索式を作成した。検索式を用いてPubMedにおいて論文検索を行ったところ、395件の論文が抽出された。395件の論文につて、包含基準及び除外基準に基づき標題及び抄録を精査している(一次スクリーニング)。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、薬用植物を含めた植物由来食品素材・成分について、エストロゲン活性のスクリーニング試験を行う計画である。すなわち、ヒト乳がん細胞株で正常なエストロゲン受容体を有するMCF-7にエストロゲンレセプターエレメントと内部標準をトランスフェクションした後、エストロゲン製剤および健康食品素材・成分からの抽出液を培地に添加し培養し、ルシフェラーゼ・レポーター遺伝子アッセイを行う。 令和5年度に実施した系統的レビューについて、「本文精読(二次スクリーニング)」、「論文採択」の工程を終えていないことから、令和6年度も引き続き系統的レビューを実施する。また、2年目に実施予定のエストロゲン活性のスクリーニング試験についても、併せて進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
令和5年度予算全体としては、ほぼ予定通り執行した。 令和5年度は、学術論文や健康被害情報の整理及び申請者以外に一人レビューを実施する者が必要なことから、人件費として計上した。レビュー実施担当者を募集したが適任者がおらず、人件費が執行できなかった。一方、システマティック・レビューを行うため学術論文の取り寄せの物品費については、想定していた論文数を超えた論文数が必要となったため、物品費を予定より多く執行した。 令和6年度も引き続き、システマティック・レビューを行うことから、令和5年分戻入額についても適宜執行する計画である。
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