2023 Fiscal Year Research-status Report
Improvements of Entanglement Distillation Protocols by Quantum Error-Correcting Codes
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23K10980
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 隆太郎 東京工業大学, 工学院, 教授 (10334517)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 量子もつれ / 量子誤り訂正 / 量子インターネット |
Outline of Annual Research Achievements |
ベネットらが1996年に提案したエンタングルメント蒸留プロトコルには、既に蒸留した量子もつれを用いるブリーディングプロトコルと、用いないハッシングプロトコルならびに再帰プロトコルがある。エンタングルメント蒸留プロトコルは量子インターネットの中核的要素技術で、その研究は来たるべき量子時代のために大事である。ブリーディングプロトコルは漸近的にはハッシングプロトコルを性能的に上回れないことが知られており今まであまり研究されていないが、予備的研究により漸近論ではない有限のリソースしか利用できない実用的な状況ではハッシングプロトコルを上回ることがあることがわかった。これらの予備的研究をきちんと整理し、情報理論とその応用シンポジウム(2023年12月)で口頭発表を行った。その後雑誌論文としてまとめるべくさらなる研究の発展に努めている。 2023年度の主要な成果はブリーディングプロトコルをエンタングルメント補助量子誤り訂正符号(EAQECC)から構成できることであった。したがって、EAQECCそのものの研究を行うことも本課題の進展に資する。スペインの海外研究協力者Carlos GalindoならびにFernando Hernandoと共同で、優れたEAQECCを構成する手法を提案し、2023年9月に雑誌論文として掲載した。こちらの成果は、エンタングルメント補助を用いない量子誤り訂正符号の構成法として有名なSteaneの拡大法をEAQECCに拡張したもので、それにより従来のEAQECCを上回る性能のEAQECCを具体的に提案することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までに知られているエンタングルメント蒸留プロトコルよりも優れたプロトコルを具体的に構成できたので、まずまずの進み具合だと考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度のブリーディングプロトコルの構成方法は、量子もつれを共有する二者(アリスとボブと呼ぶ)の間で一方向の古典通信を行うプロトコルしか検討する時間が無かった。一方、古典通信は双方向に行うほうが一方向に限定するよりも高い性能を有するプロトコルを構成できることが知られている。2024年度は双方向の古典通信を行うブリーディングプロトコルについて検討し、より高い性能を持つプロトコルを具体的に見つけることを目指す。
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Causes of Carryover |
2023年1月に今年度本報告で述べたスペインの海外研究協力者と研究打ち合わせの出張を予定していたが、突然新型コロナに感染しいけなくなったため、実際に使用した額が当初予定より少なくなり、2023年度から2024年度に予算を繰り越した。中止になった海外研究打ち合わせを2024年10月に3週間程度でリスケジュールし、繰り越した額とおおよそ同じ額の費用を見込んでいる。
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Remarks |
研究申請段階で海外研究協力者として登録した2名の共同研究者と共同でエンタングルメント補助量子誤り訂正符号に関する研究を行い、雑誌論文として掲載した。
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