2023 Fiscal Year Research-status Report
Post-Quantum Secure Computation Protocol
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23K10989
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
廣友 雅徳 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (00529795)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 秘密計算 / 符号ベース暗号 / 準同型暗号 / 耐量子性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,量子コンピュータを用いた解読攻撃に耐性(耐量子性)を持つ符号ベース秘密計算プロトコルを開発する.秘密計算は,データを暗号化し情報を秘匿したまま計算するセキュリティ技術であり,データに含まれる個人情報などを保護したままデータ連携や統計処理を可能にする.秘密計算では,データをそのまま演算処理するよりも計算量が大きくなることが課題となる.本研究では,符号理論の符号化・復号処理が低計算量であることを利用し,高速かつ軽量な秘密計算プロトコルを実現する. 2023年度は,秘密計算への応用を目的に,符号ベースの準同型暗号の開発を行った.準同型暗号は,データを暗号化したまま暗号文の加算,乗算が可能できる暗号である.本研究では,符号理論において,符号語の加算,乗算を行っても復号によって符号化前のデータの和,積が得られる符号クラスに着目し,その特徴を利用して符号ベースの準同型暗号を開発した.さらに,符号ベースの準同型暗号の安全性評価と,セキュリティ強度評価を行い,実用するために必要となるセキュリティ強度を満たす暗号のパラメータの選定を現在行っている. また,現在盛んに研究がされている格子ベースの準同型暗号や,いくつか提案されている符号ベース準同型暗号について調査し,その特徴や,準同型性を可能にする性質,長所と欠点を確認した.これらの調査結果は,提案する符号ベース準同型暗号に必要とされる性質を今後検討していく上で有用になる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定している研究である,符号ベース準同型暗号の開発ができた.その暗号の準同型性は秘密計算プロトコルに応用可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
開発した符号ベース準同型暗号の安全性評価と安全性証明を行う. また,開発した符号ベース準同型暗号のセキュリティ強度を評価し,実用するために必要となるセキュリティ強度を満たす暗号のパラメータの選定を行う. さらに,符号ベース準同型暗号をもとに,秘密計算プロトコルの開発を行う.
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Causes of Carryover |
開発した符号ベース準同型暗号の安全性評価とその証明が完了できなかったため,2023年度に予定していた国際会議への投稿および発表を2024年度へ延期した.そのため,その渡航費・宿泊費・参加費の支出が無かったため,次年度使用額が生じている. 生じた次年度使用額は,2024年度での国際会議発表のために支出する予定である.
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