2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K10993
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
吉田 真紀 国立研究開発法人情報通信研究機構, サイバーセキュリティ研究所, 主任研究員 (50335387)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ニュースペース / 秘匿 / 認証 / 宇宙通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
民間事業者が宇宙開発に参画するニュースペース時代を迎え,宇宙機の乗っ取り防止と伝送データ保護のため,宇宙通信で秘匿と認証の機能を維持する暗号技術の研究開発が喫緊の課題になっている.宇宙線等の影響による鍵データ損壊への既存対策では,鍵データを事前に多重化・誤り訂正符号化して演算前に復元するが,事前の想定以上に損壊した場合は復元できず通信エラーになる.本研究では,宇宙線強度の急増等で鍵データの一部に損壊が残る状況を想定し,通信の秘匿と認証の機能を理論上どこまで維持できるか,ニュースペース固有の要件であるリアルタイム性,高セキュリティ,低コストをどこまで達成できるかを解明することを目的としている. そのために,以下について明らかにする. (a) 鍵データ損壊に耐性をもつ秘匿認証方式の定義と最適化の理論限界. (b) 入手容易な民生電子部品で実装可能な具体的構成法. (c) 任意の秘匿認証方式から鍵データ損壊に耐性をもつ方式への一般的変換法. (d) 既存対策に対する優位性と併用の効果. 2023年度は (a) について,不安定な宇宙通信環境の特徴を反映した通信路モデルと情報理論的に安全な秘匿認証方式を定義した.そして,情報理論的に安全な暗号方式に共通の課題である鍵同期が可能となる十分条件と,実効通信速度(通信メッセージ)の理論上限を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた定義と理論解析で不安定な宇宙通信環境の特徴を反映した結果が得られており,おおむね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
鍵データ損壊に耐性をもつ秘匿認証方式について概念的に簡明な具体的構成法の検討から始め,最適化の理論限界の解析を継続して進めることで効率化の知見を得ることで,研究推進の円滑化を図る.
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Causes of Carryover |
本研究で必要な主要な物品であるMATLAB 5G toolboxの単価が初年度(2023年度)予算を超していたため、次年度(2024年度)予算と合算して購入するため次年度使用額が生じた。
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