2023 Fiscal Year Research-status Report
非対称カーネルによるノンパラメトリック推測理論の新展開
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23K11002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柿沢 佳秀 北海道大学, 経済学研究院, 教授 (30281778)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ノンパラメトリック推論 / 境界バイアス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「ノンパラメトリック関数推定」に焦点を置き,推定位置に応じた可変的な平滑化ができ,かつ,境界バイアスの欠点がないような「非対称カーネルを用いた推定量」を種々に提案して,それらの統計的漸近理論を構築することを目的にする。具体的には,密度推定から密度高階微分推定・分布推定へ転換させ,境界バイアスのないノンパラメトリック推定量を開発する。さらに,サンプリングの問題 (非負データが``直接に''採れるか,もしくは,バイアスのあるデータのみ利用出来るような,サンプリング状況に応じた適切な統計的推測)も考慮し,様々な状況から検討していく.R5年度においては以下のような成果を得た。 (1)直接サンプリングではなく,いわゆる『レングス・バイアスド・サンプリング』の下での境界バイアス問題が回避された密度推定量の研究に従事した。 (2)下記の(3)に関連して,方向統計学における分布論,及び,ノンパラメトリック推定法の先行研究を深く文献調査した。 (3)非負変量Yと角度変量Θからなるmixedデータに対してノンパラメトリックな密度推定量・高階密度微分推定量を提案した。Θに関しては周期性から境界バイアスが起きないが,Yに関しては位置・尺度型カーネルを用いた従来の推定量ではO(1)の境界バイアスが生じることを示し,このような境界バイアスを回避できるような,新しい積型カーネル推定量を考察した(成果の一部は,学会・研究集会で報告)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)直接サンプリングではなく,いわゆる『レングス・バイアスド・サンプリング』の下での境界バイアス問題を回避できる密度推定について,追加の数値実験を実施し,提案した密度推定法のパフォーマンスがよい傾向をさらに得た。 2)非負変量Yと角度変量Θからなるmixedデータの設定で,密度(高階密度微分)推定量の漸近論を明らかにし,対応する分布関数推定量についても進行中で,この分野からの発展が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年早期に、非負変量Yと角度変量Θからなるmixedデータの設定からの提案推定量に対し,数値実験を実施する。
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Causes of Carryover |
当初参加予定に計画していた旅費(大阪)に関して、招待講演者として参加することになりフライト代を早割購入することで節約できたこと、及び、当初予定していた統計関連図書購入も見合わせ節約できた。基金のルール内(基金は手続きなしで繰り越し可能)でR6年度の図書購入費、及び、旅費として使用する。
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