2023 Fiscal Year Research-status Report
不均衡データに対する解析法の統合的理解と生存時間解析への発展的応用
Project/Area Number |
23K11013
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林 賢一 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70617274)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | ロバスト推定 / べき密度ダイバージェンス / 二値回帰モデル / MCC / マシューズ相関係数 / 不均衡データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,不均衡データに対する諸解析法を統合的に理解するための枠組みを構築することと,その知見を生存時間解析へ発展的に応用することである.初年度である2023年度は,ロバストなダイバージェンスと判別超平面の推定に関する研究を実施した.その結果,ある特殊な場合のべき密度ダイバージェンスについて,Brierスコアとの関連とが見いだされ,さらにクラスの分離に関する重要な性質をもつことがわかった.これは最尤法(カルバック・ライブラーダイバージェンスによる推定)にはない性質である.この結果について現在論文を執筆中である. また,MCC(マシューズ相関係数)に関する統計的推測の研究も実施した.MCCは二値の反応に対する診断の精度に関する指標であり,不均衡データの場合に有用であることが期待される.このMCCの漸近分布を,単純なデルタ法による近似とFisherのz変換を利用した近似という二つのアプローチによって導出し,これらを数値的に比較した.また,対応のあるMCCの差についても同様の解析を行った.この場合は前述の状況とは異なり,Fisherのz変換のような適当な全単射が存在しない.そのため,Zou (2007)などのアプローチを援用し,漸近分布を導出した.この研究については論文を執筆し,学術雑誌へ投稿した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ロバストなダイバージェンスと二値回帰モデルにおけるBrierスコアの関係を見出したことと,これの特殊な性質を明らかにしたことは十分な進展であるといえる.MCCに関する研究も並行して実施できたことも考慮すると,進捗はおおむね順調であるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
ロバストなダイバージェンスとその他の損失関数に関する関連をより深く追及する.とくに,サンプリングに基づく方法との関連が興味深いと考えられる.
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Causes of Carryover |
(理由) 別業務との関係で,国外で開催された国際学会への参加を取りやめたため.その代わりに国内で開催国際シンポジウムに参加したが,結果として使用額に差が生じた. (使用計画) 国立台湾大学のHung教授のもとに滞在予定であるため,その旅費として支出予定である.
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