2023 Fiscal Year Research-status Report
Local Differential Privacy Technology with Guaranteed Transparency
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23K11110
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
菊池 浩明 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (20266365)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | プライバシー / ポイズニング / 透明性 |
Outline of Annual Research Achievements |
提供する前に確率的に情報をランダマイズして,理論的な安全性の保証のできる局所差分プライバシー (Local Differential Privacy, LDP) における,不正な入力により統計値を撹乱するポイズニング攻撃を防止することが研究の目的である.これに対して,次の研究成果を発表した. [1]は,EMアルゴリズムを用いることで,ポイズニングの影響を低減する推定を実現する方式を提案している.提案手法の有効性を検証する ために,合成データとオープンデータセットを用いて評価 を行った.その結果,特に PrivKV,PrivKVM では大きな誤差となった度数の小さな key について,EM アルゴリズムを用いることで,推定精度が改善した.度数推定の推定誤差では,ユーザ数 n = 104,ε= 0.1 のとき,3つの合成データの平均で PrivKV の約30.5%になった.特に度数の小さな key が比較的多いべき分布に従うデータのときに EM アルゴリズムを用いた手法が効果的であった. [2]は,紛失通信を使うことで,ランダマイズ処理を不正して意図的な出力を送信することを防止しており,その方式が十分に攻撃者の利得を下げることを実験的に証明している.
[1] 堀込 光,菊池 浩明,ジャミュー ユー,"Key-Valueデータの局所差分プライバシプロトコルにおけるEMアルゴリズムを用いたロバストな分布推定手法の提案”, 情報処理学会論文誌,Vol. 64, No.9, pp.1227-1240, 2023. [2] Hikaru Horigome, Hiroaki Kikuchi and Chia-Mu Yu, “Local Differential Privacy Protocol for Making Key-Value Data Robust Against Poisoning Attacks”, In: Torra, V., Narukawa, Y. (eds) Modeling Decisions for Artificial Intelligence. MDAI 2023. Lecture Notes in Computer Science, vol 13890. Springer, pp. 241-252, 2023.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画書における課題1. ランダム化の透明性確保,課題2 EMアルゴリズムによる統計値推定,課題3 透明性機構による負荷増大,利便性損失の評価,の全てについて,十分な進捗がある. 課題1においては,加法準同型性暗号を用いた紛失通信 (Oblivious Transfer, OT)の導入を計画していたが,成果[2]により,十分にその効果があることを示した. 課題2においては,Key-Value データのランダマイズには KeyとValue を連携して加工するLDP方式であるPriv-KVのEM 推定方式を提案し,ジャーナル論文(成果[1])にて発表することができた. 課題3のオープンデータによる安全性と利便性損失の定量的な評価については,成果[1], [2]の両方で実現している. 以上により,概ね順調に進展していると評価する.
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Strategy for Future Research Activity |
紛失通信Oblivious Transferを用いる方式は,送信する値域の大きさに比例して暗号化処理のコストがかかる.そこで,アマダール行列などの直交変換を適用し,送信するデータ量を削減することを検討中である.
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Causes of Carryover |
年度末に行った学会出張でかかった費用が当初見積りしたよりも低かった為.
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