2023 Fiscal Year Research-status Report
生物の水上走行メカニズム解明のための気液混相流れと連結物体の相互作用のCFD解析
Project/Area Number |
23K11131
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
白崎 実 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (50302584)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 計算流体力学 / 生物の水上走行 / 固気液三相流れ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではバシリスクやカイツブリといった一部の生物が水面上を二足走行する際の力学的なメカニズムについて,これらの生物の脚と水面との間で生じている現象を計算流体力学(CFD)により解明することを目標としている.研究期間の1年目である今年度は次のことに取り組んだ. まず,水上走行を行うバシリスクやカイツブリについて生物学的なデータ,静止画や動画等の収集を行い,これらの水上走行に関する基本的な事象を抽出したうえで,バシリスクの水上走行を具体的な現象として設定した.バシリスクの脚の動きを詳細に抽出できるほどの画像や動画のデータを入手することはできなかったものの,バシリスクの形状やサイズ,質量等の情報の他に,水上走行時の脚の動きを観測した研究データを入手することができた.これらのデータをもとにして,当初の計画どおりまずは2次元解析に取り組んだ.これは,対象とする現象は3次元性を有しているが,複雑な現象であり,検討すべき事も多いためである. そして,バシリスクの脚先を簡略化した「2次元1関節2連結の脚モデル」を作成し,バシリスクの脚の動きのデータを参考にして,関節の角度が変化しつつ脚モデルが水面に衝突する状況を再現した.穏やかな衝突においては妥当な結果が得られことが確認できたが,一方で激しい衝突に対しては計算が不安定になることがわかった.このことは当初よりある程度予想されたものであり,対象とする現象における本質的な部分であるため,この回避方法について引き続き検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定から取り組む順序が前後している部分もあるが,おおむね当初の計画通り進んでいるため.
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Strategy for Future Research Activity |
脚モデルと水面とが激しく衝突する際の不安定性の回避に取り組むとともに,バシリスクの脚のモデルを「2関節3連結の脚モデル」とした上で,脚モデルに強制的な軌道や関節部の角度を与えるのではなく,関節部に筋力を想定したトルクを与えた実際のバシリスクの運動により近い状況の再現に取り組む予定である.
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Causes of Carryover |
高性能計算機を導入する予定であったが,今年度取り組んだ部分については,想定よりも小さい計算規模で確認可能であったため既存の計算機を利用し,購入を次年度へ持ち越すことにした.
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