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2023 Fiscal Year Research-status Report

NEMS用の人工材料の開発指針となるナノ摩擦法則のシミュレーション実験による探究

Research Project

Project/Area Number 23K11138
Research InstitutionKanazawa Institute of Technology

Principal Investigator

林 啓治  金沢工業大学, 工学部, 教授 (30281455)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywordsシミュレーション物理 / 化学物理 / 複雑系 / メゾスコピック系 / ナノ摩擦 / 熱物性 / ナノ電気機械システム / ナノトライボロジー
Outline of Annual Research Achievements

本研究に至った前提として、研究代表者は、ナノ動摩擦の滑り速度依存性を特徴づける“閾現象”に関する、根幹となる研究成果について、令和3年度から査読論文として公表し、令和5年9月には一連の報告を締めくくる論文を投稿して、目下、査読結果を待っております。分子動力学(MD)研究で得たそれらの根幹となる成果のうち、閾現象を見出した際には“非凍結モデル”(Mol. Simul. 47 (8), 674-677 (2021) 参照)を、その後、閾現象に係る法則性の発現機序の解明にはより単純化した“凍結モデル”(Comput. Mater. Sci. 188, 110156 (2021) 参照)を、単結晶同士を滑らせる“単結晶MDモデル”として、それぞれ用いました。
それら根幹となる成果からの派生として本研究を、二つの方向性で、令和5年度より開始し、各々について、令和5年度には以下の通り進展させました。
〔研究実績1〕 “ラテラルひずみ超格子MDモデル”(「研究計画調書」参照)について、ナノ動摩擦シミュレータを自作し、さらに、シミュレーション実験条件を見極めるための基礎データを取り進めました。
〔研究実績2〕 根幹となる成果を得た前述の研究では、凍結モデルに関して、原子ごとに変位を時間領域でサンプリング平均した“原子変位場”の空間パターンに基づいてエネルギー散逸機序に係る仮説を検証し、閾特性が複数の単純なルールに従って決定づけられることの裏付けデータを提示しました。そこからの派生として、令和5年度の研究実績2では、非凍結モデルについて、滑り速度に対する原子変位場の空間パターンの依存性を系統的に調べ、新たな知見を多く見出しました。非凍結モデルに関して、閾特性を決定づけているルールは、複雑ではあるものの、前述の投稿中の論文で明らかにした単純なルールを前提とすることで、説明できます。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

以下①~④の進展を踏まえ判断した。
〔進展①〕 ラテラルひずみ超格子と単結晶とを滑らせる“ラテラルひずみ超格子MDモデル”(「研究計画調書」参照)について、ナノ動摩擦シミュレータを構成する、‘ラテラルひずみ超格子に属する原子は相対運動をせず単結晶に属する原子のみ相対運動をする“凍結モデル”に関したMDシミュレーションプログラム’、および、‘データ解析に用いるポスト処理プログラム群のプロトタイプ’、を令和5年度に自作した。
〔進展②〕 自作したシミュレータを用いて、まず、ナノ動摩擦特性(荷重依存性、滑り速度依存性、界面温度依存性、等)に普遍的でしかも簡明な法則性を見極めるための、シミュレーション実験条件の吟味を令和5年度に行った。具体的には、‘MDモデルにおける摺動界面に平行なバッファ層を、摺動界面から何原子層ぐらい離すべきか(「交付申請書」の「9.補助事業期間中の研究実施計画」参照)’等の吟味を行った。
〔進展③〕 単結晶MDモデルに関して、シミュレーション実験を一層効率化するための、機械学習の援用法の模索を、令和5年度に進めた。具体的には、圧力と界面温度を所望の値に調整する、滑り速度ごとの、系の体積とバッファ層目標温度の条件出しに関して、効率化を図った。令和5年度まで長年に渡って取り溜めてきた、膨大な回数のMDシミュレーション実験のデータ資産を、この模索に活用した。
〔進展④〕 「5.研究実績の概要」に令和5年度の〔研究実績2〕として前述した成果は、‘ラテラルひずみ超格子を構成する原子も単結晶を構成する原子も相対運動をする“非凍結モデル”についてのナノ動摩擦法則の解明’へ研究を発展させる際の、礎になる。なお、〔研究実績2〕に関しては、前提となる論文(「5.研究実績の概要」に前述した現在投稿中の論文)を公開でき次第、それを引用した論文として投稿する準備を既に整えてある。

Strategy for Future Research Activity

今後も、「交付申請書(様式D-2-1)」の「9.補助事業期間中の研究実施計画」に記した方針に則り、研究を進める。
令和6年度には、まず、‘格子定数のみに関して摺動方向に長周期構造を有するラテラルひずみ超格子MDモデル’について、系統的に値を振った超格子周期それぞれでの、滑り速度に対するナノ動摩擦力密度などの依存性の精緻なデータを取り進める。その後、‘格子定数のみに関して摺動方向に長周期構造を有するラテラルひずみ超格子MDモデル’についてだけでなく、‘格子定数のみならず原子間ポテンシャルの深さに関しても摺動方向に長周期構造を有するラテラルひずみ超格子MDモデル’についても、系統的に値を振った超格子周期それぞれでの、滑り速度に対するナノ動摩擦力密度などの依存性の精緻なデータを取り揃える。また、令和5年度まで単結晶MDモデルについて模索を進めてきた機械学習の援用法を、ラテラルひずみ超格子MDモデルについても適用し、圧力と界面温度を所望の値に調整する、滑り速度ごとの、系の体積とバッファ層目標温度の条件出しに関して、シミュレーション実験の効率化を図る。
令和7年度には、令和5~7年度に揃えたデータの比較検討を踏まえて、自己主張型から融合型への閾特性の質的変貌を統一的に、原子論的観点から扱うことのできる理論を構築する。併せて、ナノ動摩擦力密度のサテライトピークやサイドバンドの予測も可能にする。また、摺動表面に長周期ナノ構造や長周期原子配列を作り込んだNEMSパーツについて、局所擬似温度の空間分布解析に取り組み、“摩擦熱発生の空間的偏り”に普遍的に見られる特徴を明らかにする。
さらに、NEMS用人工材料の開発指針となるナノ動摩擦法則について、令和7年度までに得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。

Causes of Carryover

令和5年度に交付いただいた内の残額が1万円強であり、それを、同額の物品の購入に充てるよりも、令和6年度に計画しているソフトウェア購入に充てる費用の一部とした方が、本研究の加速を図れるため。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Presentation (3 results)

  • [Presentation] NEMS摺動部に用いる材料の設計指針となるナノ動摩擦法則の探究(Ⅰ)2023

    • Author(s)
      中川 拓海、齋藤 淳哉、大島 友都、林 啓治
    • Organizer
      2023年度 日本物理学会北陸支部 定例学術講演会
  • [Presentation] NEMS摺動部に用いる材料の設計指針となるナノ動摩擦法則の探究(Ⅱ)2023

    • Author(s)
      下境 雅也、蔵西 平、大島 友都、林 啓治
    • Organizer
      2023年度 日本物理学会北陸支部 定例学術講演会
  • [Presentation] NEMS摺動部に用いる材料の設計指針となるナノ動摩擦法則の探究(Ⅲ)2023

    • Author(s)
      大島 友都、澤田 陸輝、齋藤 淳哉、林 啓治
    • Organizer
      2023年度 日本物理学会北陸支部 定例学術講演会

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Published: 2024-12-25  

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