2023 Fiscal Year Research-status Report
自動運転車の数理モデリングと渋滞緩和を実現する効果的な車両制御・経路選択法の構築
Project/Area Number |
23K11139
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
友枝 明保 関西大学, 総合情報学部, 教授 (70551026)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
|
Keywords | 渋滞学 / 交通流 / 数理モデル / セルオートマトン / 車両制御 / 経路選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では, 交通流を記述する数理モデルとして,確率を含んだセルオートマトンで表現されるStochastic Optimal Velocity(SOV)モデルを基礎モデルとしている.このSOVモデルに車両制御の効果を組み込んで拡張したControlled-SOVモデルを既に提案していたが,これらのモデルには,車両間の相対速度が考慮されていなかった.そのため,既存研究の中から,SOVモデルに車両間の相対速度を組み込んだRevised-SOVモデルに注目し,このRevised-SOVモデルが示す特徴について検証を行った.その結果,Revised-SOVモデルは,SOVモデルで再現できなかった交通流の特徴を捉えることに成功しており,相対速度の効果は本質的に重要であることを確認できた.その一方で,Revised-SOVモデルには,確率セルオートマトンモデルの定式化として不適切な点が含まれていることも明らかとなった. また,申請時には予定していなかったが,阪神高速道路のある区間の実データを取得することができたため,そのデータを用いて,交通流に見られる特徴として,車線利用率と渋滞時の密度境界の移動速度を確認した.車線利用率では, 渋滞発生直前に,走行車線の車線利用率が追い越し車線より少なくなることが知られており,当該データでも同じ特徴を示すことが確認できた.また,密度境界の移動速度は,一般的に渋滞は進行方向逆向きに約20km/hで移動すると言われているが,当該データでは,進行方向逆向きにおよそ14km/hで移動していることがわかった.さらに,当該区間のデータでは,渋滞の先頭が固定化されていることも明らかとなった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来であれば,2023年度は,制御モデルを用いて交通流の変化を明らかにすることが目標であったが,制御モデルに含まれていなかった相対速度の効果についての検討に時間を要したため,本来の進捗より遅れている状況である.ただ,モデルに相対速度の効果を組み込む修正を行うことにより,当初予定していたモデルよりも精緻なモデルとなるため,今後の数値シミュレーションに対して重要な検討であったと考える.
|
Strategy for Future Research Activity |
本年度に引き続き,相対速度の効果も考慮した制御モデルを構築することを目指し,そのモデルを用いて交通流の変化を明らかにしていく.また,当初の予定にあった自動運転車の割合に応じた車両制御の有効性についても検討を行う予定である.
|
Causes of Carryover |
一部の消耗品に関して,年度末の執行期限に調達が間に合わないものがあり,次年度使用額が発生した.次年度速やかに執行する予定である.
|