2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K11163
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
木谷 俊介 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (70635367)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 選択的聴取 / 音声コミュニケーション / 時間分解能 / 周波数分解能 / 隠れた難聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「聴き取れない」あるいは「音を切り分けられない」といった聴覚の問題と音声コミュニケーションとの関係を一つの枠組みの中で明らかにすることである。そのために、音の「聴き取り」と「切り分け」に関わる聴覚特徴を心理的評価および生理的評価によって明らかにする。初年度である本年度は、実施計画に沿って、聴き取りに関する心理的評価と生理的評価を行った。 心理的評価として、音声コミュニケーションに重要であると考えられているいくつかの評価指標について検討した。選択的聴取の能力を測る単語了解度試験、周波数分解能を測るためのマスキング実験、時間分解能を測るためのギャップ検出実験、振幅変調検出実験、周波数変調検出実験、認知機能に関わるN-back実験を行った。 生理的評価として、耳から微小な音が放出される現象である、耳音響放射の計測を行った。耳音響放射は、内耳の非線形性によって生じると考えられている生理現象である。 これら各評価結果を得ることができたのは実施計画どおりであるとともに、同一の実験参加者から多角的に評価結果を得たことは重要な成果である。二年目は、「切り分け」に関しての実験を行い、聴き取りに関わる結果と合わせて心理的/生理的評価に基づいて、音声コミュニケーションに関わる聴覚特徴を明らかにする。本年度は、音声コミュニケーションを評価できる仕組みを作るための、最初の評価軸を作ることができたことが成果である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、実施計画に沿って、聴き取りに関する心理評価と生理評価について取り組んだ。心理評価では、七種類の評価項目について計46名の実験参加者に対して実験を行った。生理評価では、耳音響放射を計10名の実験参加者に対して計測を行った。実施内容は、当初の実施計画どおりであり、これらの実験参加者数は、実施計画での予定数を超える成果である。そのため、「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
計画二年目の2024年度は、実施計画に沿って、音の切り分けに関する心理評価と生理評価について取り組む。心理評価に用いる実験刺激については、計画に則り、音声の生成過程に基づいて作成する。生理評価は、初年度に実施した耳音響放射に加えて聴性脳幹反応についても検討する。
|
Research Products
(8 results)