2023 Fiscal Year Research-status Report
テンセグリティ構造体の身体装着による運動機能拡張方法の構築
Project/Area Number |
23K11186
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上杉 繁 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80350461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉地 雅浩 藍野大学, 中央研究施設, 研究員 (70388700)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | テンセグリティ / 筋膜 / 柔軟性 / 大規模変形 / 剛性可変 / 張力伝播 / 動作支援 / 能力拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
身体の基本的構造は,筋肉,腱,筋膜等による張力作用と,圧縮力を骨格により支持する作用の相互関係として捉えることができ,張力材と圧縮材から構成される構造はテンセグリティと呼称される.本研究は,このような身体構造との類似性を有するテンセグリティ構造体と,身体との相互作用による運動機能の拡張方法の問題に取り組む. はじめに,本研究グループで先に考案した身体装着型のテンセグリティ構造体や,テンセグリティを活用したロボットの機構を踏まえ,身体と相互作用する装着型テンセグリティ構造体の特長となりうる,柔軟性,軽量性,大規模変形可能性・回復性,剛性可変性,張力伝播性の機能についてあらためて分析した. 以上に基づき,身体動作において可動域が広く,動作支援に対する影響が大きい関節部への装着を想定したテンセグリティ構造体の機構を検討することにした.関節部の動きの安定性・可動性の機能に作用させるため,装着時の大きさ,屈伸動作に応じた速度を考慮した,剛性を可変する基本的な機構を考案した.剛性可変の方法として,張力材の性質を変更させる方法,テンセグリティを構成するユニットの構造としての性質を変更させる方法に着目し,まずは張力材の配置を変更する方法を考案した.オープンソースのソフトウェアモジュールを利用して,候補となる張力材の配置や張力を検討し,実験的装置の開発を通して,連続的に剛性を変更可能とする機能を確認した.また,テンセグリティ構造体と身体の四肢との接続方法として,動作の自由度を考慮した張力材による複数個所の接続,さらに剛性調整の手がかりとして筋活動の変化を計測する方法についても検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は以下の課題への取り組みを主に計画していた. ①剛性と柔軟性の調整を可能とするテンセグリティ構造体ユニットの設計方法 ②身体動作との相互作用を可能とするインタフェースの設計方法 ①については,身体の関節部への装着を想定したユニットにおいて,剛性を連続的に調整可能とする基本的機構を考案した. ②については,身体の四肢を対象にしたテンセグリティ構造体の装着に関し,身体の動きを考慮しつつ構造体とつなげるための方法を検討した. 以上により,おおむね順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
以下に示す課題に取り組む予定である. ②身体動作との相互作用を可能とするインタフェースの設計方法 ③歩行・重量物運搬可能な装着型テンセグリティ構造体の設計方法 ②については,23年度において検討した身体―テンセグリティ構造体の接続方法を踏まえ,広い身体部位への適用と,身体動作に応じた剛性の調整方法についてさらに検討する. ③については,23年度に考案した剛性が可変する基本的機構を利用し,身体動作を効果的に支援するテンセグリティ構造体として具現化する方法について検討する.
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Causes of Carryover |
効果的かつ効率的な設計開発により実験的構造体の試作回数が減少して支出が抑えられたため,次年度使用額が生じた.研究出張や国際会議への参加,装着型構造体開発への支出を計画している.
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