2023 Fiscal Year Research-status Report
非静止脳波計測に混入する多種アーチファクトの多要素生体信号を活用した全最尤低減
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23K11210
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
梅原 広明 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 研究マネージャー (60358942)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脳波生体信号同時計測 / ベイズ推定 / ハイパーパラメータ最尤推定 / アーチファクト / インパルス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
機械学習による時系列推定では、現時点でのデータのみから推定するより、過去の時間からの影響を考慮して推定をした方が高精度になることが多い。しかし、通常、どのくらい過去からの影響を考慮するのかについては体系的な決め方に乏しい。実際、入力に対して残響が含まれて得られる出力時系列データからインパルス応答を推定する問題では、残響時間については先験的に与えることが多い。これに対して、本研究では確率モデルとして書き下し、ベイズ推定の枠組みで残響時間(インパルス応答のカーネル長)をもハイパーパラメータとして最尤推定式を導いた。 実際に、脳波及び電極加速度の同時計測を行ったデータを用いて身体運動によって発生するノイズの除去性能を解析した。被験者にトレッドミル歩行をしながら聴覚オドボールタスクを課した。解析の結果、最尤推定値として求められたカーネル長によるインパルス応答推定では、最尤推定値よりも短いカーネル長によるインパルス応答推定よりも真値とみなせる時系列に近い結果となった。それに比べ、あえて最尤値よりも長いカーネル長でインパルス応答を推定すると、残差二乗和の観点ではより真値に近い状況も見られたが、聴覚オドボールタスクによって現れるP300事象関連電位成分をも削っている、すなわち、過剰適合を起こしている状況である観察結果を得た。しかし、10名の被験者データで統計解析を行った結果、有意性を得るに至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度より研究が本務ではなくなり兼務の中から当該課題実施のための研究エフォートを割くように努めているが、本務地と兼務地に距離があること及びまとまった時間の確保が難しかったこと等から、予定していた実験準備・解析等に遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、脳波と脳波電極加速度計測データとの統計解析を行うが、その際に「残留するノイズ量」の定義を見直す等の再解析に取り組む。
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Causes of Carryover |
本務多忙のため大規模な実験準備は次年度に持ち越したことから、次年度は次年度使用額も活用し実験環境を整備する計画である。
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