2023 Fiscal Year Research-status Report
Memory and Recognition Integration Model Inspired by Hippocampus and Cerebral Cortex
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23K11247
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
服部 元信 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (40293435)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | スパイキングニューラルネットワーク / 破局的忘却 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,神経科学,解剖学,神経心理学などの知見を取り入れた工学的に有用な宣言的記憶の形成モデルを構築し,さらにその記憶に基づいた熟考型の認識システムを構築することを目的としている. 本年度の研究では,生物学的に妥当性のあるスパイキングニューロンモデルを用いたニューラルネットワークにおいて,高精度な認識能力を効率的に獲得する新しい学習方法についての研究を行い,その成果の発表を行った.この学習法は,生体の神経細胞間の学習則を模倣した,スパイクタイミング依存性シナプス可塑性(STDP)に基づいているが,これに重みの減衰機構を導入することにより,小規模なネットワークにおいて少ない学習回数で優れた性能が得られることを明らかにした.また,従来のスパイキングニューラルネットワークでは困難であった,新規な学習データのみによる追加学習を可能とし,破局的忘却が回避できることを示した.これらの研究成果は,The 6th International Conference on Information and Communication Technology (論文採択率:33.82%)で発表し,Best Paper Awardを受賞した. また,近年報告されている悪意のある微小な入力ノイズに対する頑健性の改善に関する研究も実施した.これは人工的なニューラルネットワークが人間と同様な知覚を獲得するための技術として重要である. さらに,宣言的記憶の形成に重要な役割を果たしていると考えられている海馬に関する最新の研究成果に関する文献調査,並びに,記憶の形成に関係する睡眠時の脳活動に関する最新の研究成果の文献調査を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の研究では,スパイキングニューラルネットワークにおける新しい学習法の構築に取り組み,良好な成果が得られたが,生体の海馬に関する知見をモデルに十分に取り入れることができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,大規模な海馬-大脳新皮質モデルを構築することを目標としているため,これを実装可能な計算機環境の整備をさらに進める.また,深層ニューラルネットワークに関する研究は日進月歩であるため,研究室の大学院生にも研究協力者として,文献調査,学会における情報収集を依頼する.
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Causes of Carryover |
今年度は研究に必要な高性能GPUの価格上昇が激しく,その影響で当初の計画通りに各種費用を支出することができず,結果として次年度への繰越金額が生じてしまった.本研究にはさらに高性能な計算機環境が必要となるため,これを構築するための費用とする.
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