2023 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー疾患機序解明のためのHLA多型を考慮した解釈可能AIゲノム解析基盤構築
Project/Area Number |
23K11314
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小島 要 東北大学, 東北メディカル・メガバンク機構, 講師 (10646988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 研志 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40294798)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アレルギー疾患 / AI / HLA / 関連解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
IgE抗体はアレルギー物質と結びつきヒスタミンなどの放出を誘導し炎症反応を引き起こす生体内分子であり、血清総IgE値の多寡がアレルギー体質と関連することが知られている。アレルギー疾患は日常生活の質に関わる重要な疾患であるが、その作用機序や遺伝的背景において未解明な点も多い。これまでアレルギー体質の遺伝的背景の解明を目的として、東北メディカル・メガバンク計画によるゲノムコホートデータのうちSNPアレイにより取得された約1万検体の遺伝子型データについて血清総IgE値の関連解析を行い、ゲノム上の主要組織適合性複合体(MHC)とIL4R遺伝子上のミスセンス変異を関連座位および関連変異として同定している。IL4R遺伝子がコードするIL-4受容体αはIgE抗体の産生と関わっており、IL-4受容体α阻害薬がアトピー性皮膚炎や喘息に高い効果を示すことが知られている。一方、MHCは関連座位として非常に強いシグナルを示すが、難読領域であることから関連座位として報告するにとどまっていた。現在、血清総IgE値との関連変異のさらなる獲得を目的として、数万検体に拡大されたSNPアレイからの遺伝子型データを用いて血清総IgE値との関連解析を進めている。また、MHCと血清総IgE値との高解像度化を目的として、MHCに局在するHLA遺伝子のアレルをSNPアレイからの遺伝子型データより推定し、血清IgE値との関連解析を進めている。HLA遺伝子は免疫応答における抗原提示を行う分子をコードする遺伝子であり、HLA遺伝子としてHLA-A、-B、-C、-E、-F、-G、-DRB1、-DQA1、-DQB1、-DPA1、-DPB1を解析対象としている。HLA遺伝子との関連解析では、アリル単位での関連解析だけでなく抗原提示部位におけるアミノ酸置換変異情報に変換することで、アミノ酸置換変異レベルでの関連解析も行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はアレルギー疾患の遺伝的背景およびその作用機序の解明を目的としており、2023年度はその基礎データの取得を目的としていた。現在、血清総IgE値のゲノムワイド関連解析による関連変異のさらなる獲得とMHCと血清総IgE値との関連の高解像度化を推進することで、目標達成に向けて順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度に行った血清総IgE値との関連解析からの関連変異に対する分子生物学的及び実臨床における知見をもとにした解釈を進めると共に、公共の関連解析用データ等を用いる形で遺伝的背景を考慮したAI技術による作用機序解明のための手法開発を進める予定である。
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