2023 Fiscal Year Research-status Report
Navigation system for elderly pedestrians with personal adaptation mechanism based on preference information extracted from heart rate variability data
Project/Area Number |
23K11330
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
古川 宏 筑波大学, システム情報系, 准教授 (90311597)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 歩行者ナビゲーション / 高齢者 / 個人適応 / 心情推定 / 心拍変動データ |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者のQOL向上に役立つ歩行者ナビの実現に向け、経路上の環境要因に対する身体的困難さ、心的脆弱性、安心感、嗜好を定量的に考慮したモデル(環境要因コストモデル)を用いた経路探索法を開発している。本研究では、多様な個人差への対応を課題として、1)心拍変動データなどリアルモニタリングを用いた“各ユーザの環境要因に対する主観的評価”の自動推定手法と、2)“環境要因に対する主観的評価”に基づく個別コストモデルの適応的調整法を開発する。本年度は、以下の2つの研究に取り組んだ。 1.「A.“各ユーザの環境要因に対する主観的評価値”の推定手法の開発」:経路内の各要因沿いを歩行するユーザの安心感、不安、好感度等の主観的評価情報を心拍変動データなどに基づいて推定する機構の開発に取り組んだ。実験では、高齢者に心拍数、歩行速度、皮膚温、皮膚電気活動の測定センサを装着し、対象要因を含む経路を歩行していただく。歩行後に各要因に対する主観的評価を報告してもらう。センサデータより抽出した特徴量を用いた機械学習モデルを構築することで、主観的評価値の推定能力を確認した。身体的負荷が高い箇所では生体情報に基づく特徴量が、身体的負荷の低い箇所では歩行速度と皮膚電気反応に基づく特徴量が有用であることがわかった。また各条件において、適切なモデル種が異なることも確認できた。 2.「B. 実地実験に用いる歩行者ナビ・プロトタイプシステムの構築」:提案手法に基づく歩行者ナビシステムの有用性評価と手法改善のため、プロトタイプシステムの構築を進めている。本年度は歩行者ナビ用サーバの構築を対象とし、GPS情報と環境要因に対する主観的評価結果に基づいた経路探索機構をGISシステムに組み込んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度実施予定であった「A.“各ユーザの環境要因に対する主観的評価値”の推定手法の開発」および「B. 実地実験に用いる歩行者ナビ・プロトタイプシステムの構築」について: 1.Aは予定通り完了した。提供経路に対する個々の利用者の評価値を推定する機構は、“心拍変動データなどからの特徴量抽出機能”、“提供経路と実歩行経路と差の収集機能”、“ユーザの挙動データ取得機能”、そして“取得データに基づくユーザの主観的評価推定機能”とからなる。高齢者による歩行実験よりデータを収集し、これに基づいて環境要因に対するユーザの心情を推定する機械学習モデルを獲得した。 2.Bは予定通りに完了した。本年度予定のGISシステムに基づく歩行者ナビ用サーバを構築した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.「B. 実地実験に用いる歩行者ナビ・プロトタイプシステムの構築」(~R6前期):提案する経路探索法を用いた経路誘導、利用者が経路を変更した際の再探索などの機能を組み込む。また、ユーザインタフェースとなる携帯端末システムの構築を行う。 2.「C. 個別ユーザへの適応のためのモデル調整手法の構築」(R6前期~R7前期):取得した各ユーザの情報を用いて身体的負荷、安心感、嗜好などの各評価関数のパラメータを変更することで、個人適応を実現する。設計した機構を組み込んだプロトタイプシステムを用いて、実験参加者による長期の日常利用実験を実施する。長期にわたる利用において、主観評価推定機構、主観評価用インタフェース、歩行挙動情報の取得法、避難時情報の取得方策、モデル調整ルール等の評価と改善を実施する。 3.「D. 実用システムに必要となる基本仕様の策定」(R7後期):利用者に安心で快適なナビ支援サービスの提供を実現するため、提案システムの構築過程で生じた技術的課題、実験参加者による利用の観測結果、および実験参加者による主観的評価結果から、現在の最新機材の能力・制約を考慮することで、実用システムに要求される技術的要件や解決すべき技術課題を確認し、基本となる仕様の策定を行う。
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Causes of Carryover |
【理由】1) R6~R7年度に実施する「C. 個別ユーザへの適応のためのモデル調整手法の構築」において、手法の性能向上と評価の妥当性向上を狙い、実験協力者の増加を計画している。そこで、R5年度における実施費用に学内研究費を用いることで、このための予算を確保した。2) 構築システムを用いた日常実験に要する性能を適切に判断するため、「B. 実地実験に用いる歩行者ナビ・プロトタイプシステムの構築」におけるサーバ・マシンの購入をR6年度に延期した。本年度におけるサーバ構築は基礎部分のみであり、必要な能力は限定的であることから、既存のコンピュータを用いて構築を実施している。 【使用計画】1) R6~R7年度に実施する「C. 個別ユーザへの適応のためのモデル調整手法の構築」において、提案手法の実証的評価と改良を目的とした歩行実験を実施する。このとき、手法の性能向上と評価の妥当性向上に向け、多数の実験協力者に対する謝金の支払いを予定している。2)「B. 実地実験に用いる歩行者ナビ・プロトタイプシステムの構築」の完成に向け、必要な能力を有するサーバ・マシンをR6年度において購入する。
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