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2023 Fiscal Year Research-status Report

新粒子生成の初期成長に関与する極低揮発性有機化合物の特定に関する研究

Research Project

Project/Area Number 23K11410
Research InstitutionNational Institute for Environmental Studies

Principal Investigator

猪俣 敏  国立研究開発法人国立環境研究所, 地球システム領域, 主席研究員 (80270586)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 関本 奏子  横浜市立大学, 生命ナノシステム科学研究科(八景キャンパス), 准教授 (40583399)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywords極低揮発性有機化合物 / 新粒子生成 / 含多酸素有機化合物 / 自動酸化メカニズム / 1nm-走査式移動度粒径分析計 / 衝突誘起解離法 / Orbitrap
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、新粒子の初期の成長に関与する極低揮発性有機化合物(ELVOCs)を特定するため、核モードと呼ばれる粒径(10 nm程度以下)の粒子のみを捕集して質量分析を行い、核モードに含まれる分子の分子量と分子に含まれる官能基情報について衝突誘起解離法(CID)を用いて把握することである。
本年度はモノテルペン類のオゾン反応系について実験を行った。モノテルペン類としては、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、サビネンの大気中の存在比が多い4種類について行った。実験は1 m3のテフロンバッグの中でそれぞれの反応速度に合わせたモノテルペン類とオゾンの量を導入し、ゆっくりと新粒子生成を起こした。生成した二次粒子をTSI社の1nm-走査式移動度粒径分析計(SMPS)を用いて、1.4~10 nmを1分間で掃引するのを繰り返し、装置の出口のポンプで吸引している部分にフィルターを挿入して、粒径計測後の粒子をフィルターに捕集した。フィルターホルダーも減圧に耐えられるものを準備した。フィルターに捕集した試料はアセトニトリルで抽出、濃縮を行って、質量分析用の試料として準備した。
質量分析は、Thermo Fisher Scientific社のOrbitrapを用いて行った。ポジティブイオン化、ネガティブイオン化で分析を行い、β-ピネンの試料の分析の結果、数十のモノマー、ダイマーと考えられる物質の検出に成功した。想定していたHOO基を多く含むような化合物はこれまでの解析では見つかっておらず、モノマーだとジカルボン酸が見つかっていて、他はダイマーのものが多かった。
生成する粒子の粒径を見ていると、モノマーのものは5~6 nm以下のサイズで、ダイマーがそれ以上のサイズで、ダイマーのほうが量としてはモノマーに比べ多く捕集されていたので、整合する結果と思われる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

既存のフィルターホルダーを用いてサンプリングしてみたところ、フィルターホルダーが減圧に対応していなかったためにリークがあり、核モードの粒子の捕集がうまくいかないことがわかった。減圧にも対応できるフィルターホルダーを見つけ使用したことで、核モードの粒子の捕集に成功した。本年度計画していたα-ピネン、β-ピネン、リモネン、サビネンの4種のモノテルペン類のオゾン反応で生成する新粒子の核モードの分析試料作りは成功した。しかし、適切なフィルターホルダーの探索・購入に時間がかかったため、分析試料の質量分析は、解析を含め、十分に行えたのはβ-ピネンのみで、他のサンプルに関しては十分な質量分析・解析ができなかった。しかし、二年目の最初でその遅れは取り戻せるため、おおむね順調に進んでいると考えている。

Strategy for Future Research Activity

二年目当初に一年目の試料のα-ピネン、リモネン、サビネンの質量分析・解析を行う。その後、申請時の計画通り、人為起源の炭化水素(トルエンとナフタレンを計画)からの新粒子生成の核モードに含まれる化合物の特定を行う。そして、三年目に実大気試料に、核モードに含まれる化合物の特定を行い、反応実験と観測との整合性を確認する。

Causes of Carryover

一年目、適切なフィルターホルダーの探索・購入に時間がかかり、反応実験の試料作りは完了したが、質量分析のところで、十分に分析・解析ができなかった試料があり、その分析・解析の費用と、現在投稿中の論文の印刷代を、二年目に繰り越した。
二年目に請求した分は、二年目に計画している人為起源炭化水素(トルエンとナフタレン)の実験に使用する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 酸性粒子存在下でのα-ピネンの酸化過程からの二次有機エアロゾルの生成収率の増大と低揮発性成分の生成2023

    • Author(s)
      猪俣敏, 佐藤圭, 森野悠, 江波進一, 谷本浩志, DENG Yange, RAMASARY Sathiyamurthi, 飯沼賢輝
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2023年大会
  • [Presentation] Ion mobility and machine learning based study on the evoluon of laboratory generated SOA compounds2023

    • Author(s)
      IINUMA Yoshiteru, INOMATA Satoshi, SATO Kei
    • Organizer
      Characterization and Identification of Atmospheric Aerosols
    • Invited
  • [Presentation] Non-target organic compound analysis of cloud water at Mt. Tsukuba2023

    • Author(s)
      飯沼賢輝, 猪俣敏
    • Organizer
      Non-target organic compound analysis of cloud water at Mt. Tsukuba. 第28回大気化学討論会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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