2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K11421
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
河村 香寿美 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 特任研究員 (70849538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 啓司 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (00196809)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 放射線 / ゲノム欠失 / LLPS / 53BP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
高線量放射線により数Mbにも及ぶ大規模なゲノム欠失が引き起こされるが、メカニズムは不明である。そこで、近年タンパク質ダイナミクスの新たな現象として注目される液-液相分離(LLPS)に着目し、ゲノムを1セットしか持たないハプロイド細胞(ヒトHAP1細胞)を用いて、DNA二本鎖切断(DSB)誘発に伴う修復関連タンパク質の集積が、損傷ゲノムのLLPSを引き起こし、液相中での複数DSB間の誤修復が大規模ゲノム欠失を誘発することを証明する。 LLPSの阻害剤や誘発剤を用い、ゲノム欠失規模の検討をおこなう方法として、これまでに論文報告しているHPRT遺伝子のexon解析及びHPRT遺伝子座周辺のSTS-qPCR解析と、全ゲノムシーケンス(WGS)を実施する。さらに、ゲノム欠失に共役した発現変化の検討のために、RNA-seqを実施する。 令和5年度は、LLPS阻害剤として知られる1,6-ヘキサンジオールを用いて、HAP1細胞における53BP1のLLPS形成阻害に適した濃度を決定した。また、1,6-ヘキサンジオール処理したHAP1細胞から、X染色体上のHPRT遺伝子の変異を指標にγ線誘発の6-チオグアニン耐性クローンを複数単離した。 さらに、既に単離していた阻害剤や促進剤を処理していない6-チオグアニン耐性クローンについて、HPRT遺伝子のexonおよびHPRT遺伝子座周辺の多重STS-qPCRを実施し、ゲノム欠失規模を検証した。加えて、これらのクローンはWGS及びRNA-seq解析にも着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和5年度は研究計画当初の予定に大きな遅れや変更がないため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
得られたWGSとRNA-seqデータに対し、解析を実施する。 阻害剤処理群のクローンに対し、HPRT遺伝子のexon解析及びHPRT遺伝子座周辺のSTS-qPCR解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
インボイス制度の施行の関係で端数が生じたため、翌年度分と合わせて物品費として使用する。
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