2023 Fiscal Year Research-status Report
血管周囲脂肪組織に着目したヒ素の血管毒性発現機構の解明
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23K11438
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Research Institution | Tokyo University of Pharmacy and Life Science |
Principal Investigator |
藤原 泰之 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (40247482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
恒岡 弥生 帝京大学, 薬学部, 講師 (50734597)
高橋 勉 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (00400474)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ヒ素 / 血管周囲脂肪組織 / 血管内皮細胞 / 動脈硬化症 / 血液凝固線溶系 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヒ素の 血管周囲脂肪組織(PVAT)、白色脂肪組織(WAT)、褐色脂肪組織(BAT)への作用を調査し、ヒ素による血管病変の発症と進展に PVATをはじめとする脂肪組織の機能異常が関与するか否か、関与する場合はそのメカニズムを明らかにすることを目的としている。 【2023年度】では、マウスに生理食塩水または亜ヒ酸ナトリウムを腹腔内投与した。投与後、血管周囲脂肪組織(PVAT)、白色脂肪組織(WAT)、褐色脂肪組織(BAT)および血清を採取し、アディポサイトカインの発現に及ぼす影響を検討した。その結果、(1)亜ヒ酸単回腹腔内投与によってBATおよびWATにおけるアディポネクチン mRNA発現量が有意に減少すること、(2)亜ヒ酸反復投与によって血中のアディポネクチン量が有意に減少することが確認された。従って、ヒ素は、BATやWATといった脂肪組織におけるアディポネクチンの発現に影響を及ぼし、血中のアディポネクチン量を減少させることで、アディポネクチンの抗動脈硬化作用を抑制し、動脈硬化病変の発症・進展に寄与する可能性が考えられた。また、レプチンの発現に及ぼす影響を検討したところ、(1)亜ヒ酸投与によって血清レプチンタンパク質量は有意に減少するが、(2)脂肪組織でのレプチンタンパク質量は変化しなかったことが確認された。一方、レプチン遺伝子の発現量を検討したところ、(1)亜ヒ酸投与によってBATにおけるレプチン mRNA発現量が有意に減少すること、(2)PVATでのレプチン mRNA発現量が有意に減少することが確認された。これらの結果は、亜ヒ酸がBATやPVATといった脂肪組織におけるレプチンの発現に影響を及ぼし、低レプチン血症を引き起こす可能性を示唆している。今後、研究実施計画に従い、さらに研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【2023年度】の研究により、ヒ素曝露マウスの血管周囲脂肪組織(PVAT)、白色脂肪組織(WAT)および褐色脂肪組織(BAT)において、アディポサイトカインであるアディポネクチンやレプチンの発現が影響を受けることを明らかにすることができた。なお、PVAT 付き血管組織の免疫組織化学的標本を作成し、PVAT 組織の形態変化やマクロファージの浸潤、各種タンパク質の発現等を確認する予定であったが、こちらについては現在進行中でまだ結果は得られていないので、引き続き継続して進めている。当初の計画より少し遅れている部分はあるものの、研究実施計画に従い、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
【2024年度】も研究実施計画に従い、以下の研究を推進していく予定である。 ① PVAT由来脂肪細胞が産生するアディポサイトカインに対するヒ素の影響の解明:PVAT 由来脂肪細胞の初代培養系または組織培養系を準備し、それらを用いて脂肪細胞が産生するアディポサイトカイン(アディポネクチン、炎症性サイトカイン、血液凝固・線溶系制御因子、酸化ストレス応答因子等)の発現に対するヒ素の作用を検討する。具体的には、PVAT 由来脂肪細胞にヒ素を曝露し、各種因子の発現変化をqPCR 法、western blot 法および ELISA 法などを用いて測定し、ヒ素のPVAT由来脂肪細胞への影響を評価する。さらに、ヒ素曝露で発現変化したアディポサイトカインのプロモーター領域に結合する転写因子や細胞内シグナル伝達系の特定を、阻害剤や RNAi 等の手法を用いて行う。 ② PVAT 付き血管組織の免疫組織化学的標本を作成し、PVAT 組織の形態変化やマクロファージの浸潤、各種タンパク質の発現等を確認する。
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Causes of Carryover |
理由:次年度使用額(B-A)として、397,542円が発生した。これは、一部の研究が予定通りに進まず、その研究に必要な予定してした試薬・器具類および実験動物の購入が遅れてしまったためである。 使用計画:今年度(2024年)に必要な試薬・器具類および実験動物を購入して研究を進める。
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Research Products
(3 results)