2023 Fiscal Year Research-status Report
胎盤幹細胞を活用した環境化学物質曝露の影響評価と毒性発現メカニズムの解明
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23K11440
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
木村 朋紀 摂南大学, 薬学部, 教授 (70340859)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 剛 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (50303988)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 栄養膜幹細胞 / 毒性発現機序 / エピジェネティクス |
Outline of Annual Research Achievements |
胎盤は胎児に酸素や栄養を届ける役割を持ち、妊娠を維持する上で非常に重要な臓器である。胎盤は妊娠初期に細胞性栄養膜細胞(CT)が増殖して、絨毛外性栄養膜細胞(EVT)および合胞体性栄養膜細胞(ST)へと分化し、EVTが母体血流へと遊走し、子宮内に浸潤してらせん動脈を再構築することで形成される。この分化、遊走・浸潤過程が不十分であると、胎盤の形成に異常が発生し、それに伴った妊娠合併症から胎児の発育遅延につながる。本研究では、胎盤幹細胞やそれが分化して生じた栄養膜細胞を利用し、複数の環境化学物質について、栄養膜細胞への分化過程やその細胞機能に与える影響とその毒性発現機序を解明することにより毒性発現機序の共通点を探し出すことを目的としている。本年度は特に、ビスフェノールA(BPA)の影響について検討した。その結果、フォルスコリン処理によって合胞体化する細胞株BeWoに対しては影響が認められなかった。それに対しEVT様細胞株HTR-8/SVneoの遊走・浸潤に対して、1 nMで促進効果が認められた。北海道大学環境健康科学研究教育センターが行っている出生コホート「北海道スタディ」にて、母親の血中BPA濃度について、上位25%では1 nM以上であり、この母親の血中BPA濃度と臍帯血中レプチン濃度、アディポネクチン濃度とに関連性が報告されている(Environ Res, (2018), 161, 505-511)。現在、この関連性に注目している。また、CTに相当する細胞株CT27を用い、BPAがSTへの分化には影響しないことを確かめるとともに、EVTへの分化への影響を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに研究を遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
BPAの遊走・浸潤促進作用の作用点を明らかにするため、この過程に関わるシグナル伝達タンパク質量をWestern blotにより調べる。また、DEHPやその活性代謝物MEHP、ヒ素などについて、同様の検討を行うことで影響の有無を明らかにし、影響があった場合には、その作用点の解明に取り組む。
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Causes of Carryover |
STの細胞機能への影響が認められたものについて、その作用点の解析を行う予定であった。しかしながら、BPAについては細胞機能への影響が認められず、作用点の解析の必要性が無くなった。今年度未使用となった研究費は、ヒ素やDEHPなどのSTの細胞機能への影響評価やその作用点の解析のために使用する。
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