2023 Fiscal Year Research-status Report
Long-term leaching behavior of mercury from stabilized and solidified mercury wastes in a specially engineered landfill site
Project/Area Number |
23K11475
|
Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
日下部 武敏 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (40462585)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 昌輝 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252485)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 水銀 / 水銀廃棄物 / 固型化 / 溶出試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
水銀は元素でそれ以上分解されないため、人工的なシンクとなる水銀廃棄物の環境上適正な長期管理が必要である。水銀廃棄物は新たな廃棄物であるため、その長期的な劣化や水銀溶出に関する知見は不足しており、長期安全性評価では水銀溶出挙動をいかに正確に予測するかが重要である。本研究では、水銀廃棄物からの水銀溶出モデルの構築と長期予測のため、想定しうる限りの多様な条件で系統的な基礎的データを取得して整備することを目的とする。 1年目は、アルカリ条件(pH8~14、6条件)において硫化水銀(HgS)および3種の廃水銀等処理物(改質硫黄固化体、エポキシ樹脂固化体、低アルカリセメント固化体)からの水銀溶出挙動を環告13号溶出試験により評価した。その結果、アルカリ条件下において、廃水銀等処理物からの水銀溶出挙動は各固化体によってそれぞれ異なることが明らかとなり、固型化剤や固型化条件が水銀溶出挙動に大きく影響していると考えられた。アルカリ条件下における各固化体からの水銀溶出挙動には固型化剤、固型化条件に起因する特徴がそれぞれあることがわかり、実際の埋立処分環境を想定して最適な固型化手法を選択するあるいは追加的な措置を講じることで、より安定した廃水銀等処理物の長期管理の実現が期待できる。今後の課題として、アルカリ条件下においてそれぞれの固化体でどのようなメカニズムで水銀溶出が起きていているのかについて究明する必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
水銀廃棄物からの水銀溶出ではアルカリ条件が最も重要な影響因子であり、水銀溶出挙動のpH依存性(pH8~14、6条件)に関する基礎的データを取得するとともに、3種の廃水銀等処理物で水銀溶出挙動が異なることを詳細に明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
2年目は、1年目に明らかとなったアルカリ条件下での水銀溶出挙動(メカニズム)の違いを引き続き究明する。さらに、当初の計画に沿って、他の条件での水銀溶出挙動を順次評価するとともに、水銀廃棄物からの水銀溶出モデルの定式化を進める。
|
Causes of Carryover |
当初予定していた水銀分析装置(研究分担者所有)での水銀分析では、妨害物質の影響が想定よりも大きく、水銀分析装置メーカーに協力いただいた。そのため水銀分析や装置メンテナンスに必要な消耗品類の購入数が減少し、次年度使用額が生じた。当該助成金は、翌年度において水銀溶出挙動の究明のための分析に必要な試薬等の購入にあてる計画である。
|