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2023 Fiscal Year Research-status Report

木材腐朽菌によるゴム分子分解機構の解明

Research Project

Project/Area Number 23K11496
Research InstitutionKanto Gakuin University

Principal Investigator

清水 由巳  関東学院大学, 理工学部, 教授 (50725124)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 香西 博明  関東学院大学, 理工学部, 教授 (00272089)
清水 公徳  東京理科大学, 先進工学部生命システム工学科, 教授 (40345004)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywords木材腐朽菌 / ポリイソプレン / 再資源化 / 分解
Outline of Annual Research Achievements

ゴム資化木材腐朽菌による、天然ゴム成分の分解物の同定と菌種の違いによるゴム分解反応の比較を行った。ブナシメジと千葉県産分離株 Physisporinus sp.を用い、炭素源を含まない合成培地にイソプレンオリゴマーとしてファルネシル酢酸を加え、菌を培養した。培養後、分解物を抽出しTLCによる検出と、分解物の同定のために分子量の測定を行った。その結果、ファルネシル酢酸の化学構造内にあるエステル結合が加水分解され、その結果生じたと考えられる、セスキテルペンアルコールを検出した。エステル結合の加水分解は酵素リパーゼの作用によることが知られているため、これら2菌株がリパーゼを産生するかを調べたところ、遊離型リパーゼではなく細胞結合型リパーゼを産生している予想される結果が得られた。他方、ファルネシル酢酸分解物の分子量解析の結果から分子量168の物質も検出された。この分解物はイソプレンオリゴマーの炭素の二重結合が酸化切断してできた物質であると予想された。その他、イソプレンオリゴマー添加培地の培養上清からエタノール、アルデヒド類が比較的高い濃度で検出された。
木材腐朽菌のゴム代謝メカニズムの解明のために、天然ゴムラテックスあるいはグルコースを加えた培地を用いてH. marmoreusを培養し、遺伝子発現量を調べた。エタノールを細胞内に運搬すると考えられているアクアポリンと似た働きをする PDUF 遺伝子、アルコール代謝に関わるALDH1 遺伝子、ADH 遺伝子、ACAS 遺伝子が、天然ゴムラテックス添加培地培養時に、グルコース添加培地培養時と比較し高い発現量を示した。
以上の結果から、ポリイソプレンは、H. marmoreusで分解させた場合、炭素の二重結合が酸化切断され、エタノール類やアルデヒド類を産生し、細胞内に取り込まれているのではないかと予想している。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

課題① ゴム資化木材腐朽菌による、天然ゴム、合成ゴムの分解物の同定と、菌種の違いによるゴム分解反応の比較
菌作用後のイソプレンオリゴマーの構造解析を行ったが、菌の培養条件により菌作用後のイソプレンオリゴマーの構造に差が生じたため、培養条件の再検討を行う必要がでてきた。
また、白色腐朽菌による木材の分解メカニズムについて論文発表があり、担子菌はアルコール発酵をしないと考えられていたが、アルコール発酵を行うことが示された。このため、我々の研究において、ゴム培地培養上清からアルコール成分を検出できたが、このアルコールがゴム由来であることを示す必要が出てきている。
課題② ゴム分解に関与すると思われる新規分解酵素の探索と機能解析と、木材腐朽菌のゴム分解中間代謝産物の同定
ゴム分解にはリグニン分解酵素群や細胞外分泌性の酵素が関与すると予想し、解析を進めてきた。しかしながら、リグニン分解に関する論文報告がされ、リグニン分解に関与する酵素の中には、細胞外に分泌されないものもあることが示された。さらに、リグニン分解酵素遺伝子は、リグニンによりその発現が活性化されるわけではないことも示された。我々は、ゴム添加培地培養時に多く合成される細胞外分泌性のタンパク質をコードする遺伝子群をトランスクリプトーム解析により同定し解析を進めてきたが、ゴム分解酵素遺伝子はゴム添加培地培養時に多く発現しているわけではないことになる。培養液中のタンパク質についても解析をする必要がある。

Strategy for Future Research Activity

ゴム培地培養上清中に含まれるアルコール成分がゴム由来であることを示す必要が出てきている。アルコール成分だけでなく、他のゴム分解物と予想している物質もゴム由来物質であり、菌体から分泌された物質ではないことを示す必要がある。このため、さらに中間代謝産物や、分解中間産物の同定を行う。
ゴム分解酵素はゴム添加培地培養時に多く遺伝子発現しているわけではない。このため、培養液中のタンパク質についても解析する必要が出てきた。しかしながら、まずは、ゴム添加培地培養時に多く発現する遺伝子群に着目し、機能解析を進める。ただし、当初、分泌タンパク質に着目していたが、分泌されず細胞表層に結合するタンパク質がゴム分解に関与する可能性もあるため、細胞膜タンパク質や細胞壁タンパク質も含めた解析を行う。

Causes of Carryover

2023年度に、分解物の構造解析で、香西担当予定であったNMRを行う予定であったが、清水(由)が担当したTLC-MS、LCMSによる分解物解析に時間がかかりNMR解析は実施できなかった。NMR解析は次年度実施予定であるため、その費用を2024年度に繰り越す。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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