2023 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of spatio-temporal genetic structures of the tidal marsh plant driven by disturbances and stable environments
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23K11507
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大林 夏湖 中部大学, 応用生物学部, 客員研究員 (20448202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
程木 義邦 中部大学, 応用生物学部, 准教授 (60632122)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | オオクグ / 経年変化 / 遺伝的多様性 / SSRマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は前回サンプリングから15年経過していることから、オオクグ個体群の分布状況及び現状把握を行った。島根県斐伊川水系中海・宍道湖個体群では、土地利用形態の変化や大橋川河川改修工事完了に伴い局所個体群の消失や新規個体群形成がみられた。遺伝的多様性が高い局所個体群が点在していた大橋川3個体群のうち2個体群は護岸改修工事と高速道路建設による付け替え道路の建設等より消失、また大橋川左岸河口個体群は、大規模堤防改修と導水路の建設が行われ個体群の縮小がみられた。一方、大橋川河口から中海側には、2008年当時オオクグの移植検討を行った人口護岸に、オオクグが繁茂していた。中海の揖屋干拓では、河口の個体群が陸上植物に置き換わり消滅、中流の局所個体群のみが存在し、ヨシと混成していた。安来干拓については、2008年当時には存在しなかった中海ふれあい公園が建設されており、様相の変化が顕著だった。このため、河川護岸全域を踏査したところ、3か所に小さなパッチを確認した。いずれも護岸の石の間から生育し、またヨシの繁茂しない陸側に分布していた。それ以外の地点(島根県側中海2地点、鳥取県側中海1地点)については、以前と同じ場所にヨシと混成して生育していた。島根県中海のA島については、オオクグは数株程度と見られ、ヨシやシオクグが繁茂してた。また、2017年にサンプリングを行った国内オオクグ個体(16地点、約400個体)について、DNA抽出を行い、8割程度が完了した。またオオクグのSSRマーカー(Ohbayashi et al 2008)について複数の遺伝子座を1度のPCRで増幅するmultiplex PCRの検討も行い、いくつかの遺伝子座の組み合わせでMultiplexPCR可能であることが確認された。これにより作業の簡便化とコスト削減が可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本国内でも有数の局所個体群が点在する島根県斐伊川水系中海・宍道湖の初回サンプリングから15年後の現地踏査が予定通り完了し、その分布現状を詳細に把握することができた。次年度、4-5月の小穂が出る時期にサンプリングを行う地点が絞られたため、効率的にサンプリングを行うことが可能になった。またOhbayashi et al (2008)で開発したオオクグのマイクロサテライトマーカのうち、いくつかの遺伝子座でMultiplexPCRが可能であることを確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、オオクグの繁殖茎(小穂)がみられる4-5月に、島根県斐伊川水系中海・宍道湖個体群のDNA解析のためのサンプリング、及び、太平洋側個体群(青森・宮城・福島)の現地踏査と、分布状況の確認、及びDNA解析のための個体サンプリングを行う予定である。サンプリング終了後、実験室で随時DNA抽出を行い、フラグメント解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度に購入した消耗品について、購入時の値引き額が大きかったため、残額が生じた。これらについては2024年度以降の消耗品購入費と合わせて使用予定である。
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