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2023 Fiscal Year Research-status Report

マイクロバイオーム解析によるアライグマのヒトへの人獣共通感染病原体伝播リスク解明

Research Project

Project/Area Number 23K11532
Research InstitutionOita University

Principal Investigator

橋本 武博  大分大学, 医学部, 助教 (70895862)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 小宮 幸作  大分大学, 医学部, 教授 (50727550)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
KeywordsSTTS / 野生動物 / 抗体保有率 / Direct real time RT-PCR
Outline of Annual Research Achievements

大分県内に生息する野生動物、ペットにおけるSFTSV感染状況の調査および簡易かつ迅速にSFTSを診断できる方法を構築した。
2010年1月から2024年1月までに大分県内で捕獲したシカ289例、イノシシ382例、アライグマ166例、野生犬57例、飼育犬568例、飼い猫286例を対象とした。抗体保有率はELISA法を用いて評価し、吸光度のcut off値はシカ、イノシシは平均値+4標準偏差(SD)、犬、アライグマ、猫はそれぞれ平均値+6SD、平均値+SD、平均値+2SDとした。アライグマ、シカ、イノシシ、野生犬、飼育犬、飼い猫の抗SFTSV抗体保有率はそれぞれ27、28、9.2、1.8、0.5、1.4%であった。大分県ではヒト発生例には地域差があるが、今回の野生・飼育動物の捕獲地域には偏りがあり、正確なヒト発症例と動物の抗体保有率の関連性については評価できなかった。
次に、迅速にSFTSを診断するためにdirect real-time RT-PCRの有用性の評価を行った。血清サンプル64検体を用いた。血清に処理液を加えた上で、95℃、5分間熱処理を行い、RT-PCR反応にはFastGene Scriptase II、KAPA3G plant kitおよび既報のプローブ/プライマーセットを使用した。モバイルPCR装置にはPicogene PCR1100(PCR1100)を用い、従来の機器であるLyghtCycler96を用いたconventional real-time RT-PCR法と比較した。検出時間は約90分から20分と大幅に短縮することができたが、検出精度はCt値が25.6以下であれば感度84.4%、特異度92%でウイルスを検出できる結果であった。したがって急性期であればdirect real-time RT-PCR法でウイルスを検出できると考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

野生動物、ペットにおけるSFTSV抗体保有率についての検討は終わり、SFTSVを検出するためのconventional real time RT-PCR、direct real-time RT-PCR法を確立している。またオズウイルスの抗体保有率を評価するためのELISA法も確立している。以上の事実より、本研究課題の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

大分県ではヒトSFTS発生例に地域差があるが、今回の野生・飼育動物の捕獲地域には偏りがあり、正確なヒトSFTS発症例と動物の抗体保有率の関連性については評価できなかった。今後も動物とヒトの包括的なSFTSV分布調査を継続する必要があると考えている。また動物からSFTSVが検出された場合、BigDye Terminator v3.1 Cycle Sequencing Systemを用いてSFTSVの遺伝子配列を決定する。
すでに大分県のイノシシの血清サンプルからオズウイルスの抗体保有が確認されており、今後、大分県でもオズウイルス感染症が報告される可能性がある。SFTS診断されたヒトサンプルのうち発症7日目以降のサンプルと野生・飼育動物(シカ、イノシシ、アライグマ、野生犬、飼育犬、飼い猫)のサンプルを用いてオズウイルスの抗体保有率について検討する。抗体保有率はELISA法を用いて評価を行う。
アライグマ由来の人獣共通感染症には、狂犬病がよく知られているがSFTSの他にH4N6鳥インフルエンザウイルス、インフルエンザAウイルス、レストスピラ症、トキソプラズマ原虫、ウエストナイルウイルス、カンジダ症、リステリア症、アデノウイルス等の多くの病原体が報告されている。ナノポアシークエンスを用いて網羅的に検索し、未知のウイルスを含め野生アライグマが持つ病原体の有無について検討を行い、大分県内でのアライグマから伝播するSFTS以外の人獣共通感染症のリスクを予測し、病原体の蔓延を防止するための対策を検討する。

Causes of Carryover

①当初予定していた動物サンプル数が集まらなかったこと、②in-house ELISA法に必要な物品の予備があったことにより、次年度使用分が生じた。
今後の使用計画としては学会発表、オズウイルスのELISAによる抗体検出に必要な物品、次世代シークエンサー、シークエンスに必要な試薬、統計解析ソフトなどに研究経費を充てる予定である。

URL: 

Published: 2024-12-25  

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