2023 Fiscal Year Research-status Report
Language and Identity Education in Minority Francophones in Canada
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23K11577
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
小松 祐子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (90361295)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | カナダ・フランコフォン / フランス語教育 / 言語継承 / アイデンティティ / 多文化共生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度にはとくに「カナダのマイノリティ環境におけるフランス語学校」について検討を進めた。英語系が支配する社会のなかで、フランス語とその文化の再生産を促進することにより、集団アイデンティティの維持と強化や共同体の統合のための基盤となってきたのがフランス語学校であることから、今年度の研究では、カナダ・オンタリオ州におけるフランス語学校の歴史・現状・課題について主に文献をもとに詳細な検討を行うとともに、現地のフランス語学校3校を視察した。今日のオンタリオ州の若いフランコフォンの多くは、フランス語教育委員会が管理する学校で、フランス語による質の高い教育の恩恵を受けているが、ここに至るまでには200年におよぶ歴史があり、現在、人口動態の推移(少子化と移民増加)とそれに伴う民族文化的構成の変化による新たな課題に直面していることが明らかとなった。論文および研究会発表により成果を報告した。 また、以下の4名の専門家を講師としてお迎えし、カナダのフランス語の状況や教育の課題について、ご講演いただくことにより、本研究を進めるうえでの重要な示唆をいただいた。Jean-Philippe Croteau氏「カナダにおけるフランコフォン移民に関する諸問題-教育分野を中心に」(2023年7月)、Sophie Babault氏「カナダにおけるバイリンガル教育:イマージョン教育と生徒の言語多様性考慮とのあいだで」(2023年9月)、Jean-Louis Roy氏「21世紀の言語地政学:フランス語の未来」(2023年12月)、Elatiana Razafi氏「二言語使用はアイデンティティ上の誇りとなるか?カナダの生徒たちの発言より」(2024年3月)(講演はいずれもフランス語で行われた)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査、現地調査を行い、成果を上げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度にはカナダのマイノリティ環境におけるフランス語学校の制度的現状と課題についてさらに調査を進めるとともに、具体的な教育上の施策や教授法の検討を試みる。インターネット上で閲覧可能な資料や入手可能な出版物をもとに研究を進めるとともに、現地研究者を対象とした聴取りや講演依頼を行う予定である。カナダ・モンクトンで6月に開催される国際フランコフォニー学会世界大会に参加し、情報収集に努める。
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Causes of Carryover |
出張調査費の支出が予定よりも少なくなったため、予算残額を次年度の現地調査や成果発表に有効に活用したいと考えている。
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Research Products
(3 results)