2023 Fiscal Year Research-status Report
戦後世界における国際観光振興の枠組み形成:復興から開発へ
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23K11642
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
森本 慶太 関西大学, 文学部, 准教授 (20712748)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 観光 / 戦後復興 / 観光学 / 国際機関 / マス・ツーリズム / ソーシャル・ツーリズム / 大衆化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、歴史学の手法を用いて、第二次世界大戦後の国際環境における観光の位置づけを明確にすることである。具体的には、観光がヨーロッパの戦後復興の手段の一つから、開発途上国での経済振興策として先進国を通じて支援されるようになり、さらには「平和へのパスポート」として国際的に認知されていく過程について世界史的視野から明らかにすることを目指している。 一年目となる本年度は、第二次世界大戦後の欧米諸国の観光振興に大きな役割をはたしたマーシャル・プランと、その受け皿としてのヨーロッパ経済協力機構(OEEC)に着目し、冷戦初期の西側を中心とする国際関係と、西欧諸国の協働による観光振興の枠組みの形成過程、ならびに諸組織間の関係について検討した。 具体的には、第二次世界大戦前から活動していたスイスの観光研究者を取り上げ、以下の二つの事例について研究を進めた。第一に、かれらが戦時中のスイスで設立した観光研究機関の特徴を考察し、戦後にヨーロッパで広がりを見せた観光学とのつながりを検討した。第二に、かれらが戦時中から構想していた、観光を通じての余暇普及策(ソーシャル・ツーリズム)に注目し、スイスの国内的文脈から具体化していったソーシャル・ツーリズムと、戦後の国際機関で採用されることになるソーシャル・ツーリズムとの関連性を展望した。 本年度は研究遂行の過程で海外出張を行い、スイス経済文書館とスイス連邦文書館にて資料調査を実施した。得られた成果の一部は、4度の口頭発表と1篇の論文、西洋史概説書への寄稿を通じて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記しているように、本年度は海外での史料調査を実施し、今後の研究につながる有益な史料を収集することができた。また、4度の口頭発表と1篇の論文の公表、されに西洋史概説書への寄稿として、一定の研究成果をあげることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に第二次世界大戦後のヨーロッパを中心とする国際関係史と観光史に関する二次文献の収集を一定程度進めることができたため、それらの検討を通じて研究動向のさらなる把握に努め、問題設定をより明確化することを目指す。特にこれまで研究の重点をおいていたスイスに対象を留めることなく、西欧諸国の観光機関と観光専門家に対象を広げ、戦後の観光振興をめぐる組織間や人的ネットワークの全体像を把握したい。 同時に、本研究の遂行のためには、OEECや公的旅行機関国際同盟(IUOTO)など、第二次世界大戦後の国際機関に関する一次史料を継続的に調査する必要がある。そのため、2024年度もスイスやフランス等の西欧諸国での史料調査を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、特に本年度の後半に本務校での職務多忙の状態が続いたため、年度末に史料調査が実施できなかったことと、資料整理の状況を鑑みて人件費・謝金を使用しなかったことによる。次年度には、複数回の史料調査と整理作業、それに新規の図書資料購入を見込んでおり、2023年度分の助成金と合わせて使用することを予定している。
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Research Products
(7 results)