2023 Fiscal Year Research-status Report
Econometric Study for the Development of Sustainalbe Tourism after COVID-19
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23K11649
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
諏訪 竜夫 山口大学, 経済学部, 准教授 (80507161)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ポストコロナ / 持続可能な観光 / 端点解モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では2023年度には関連する学会や研究会に参加して最新の研究動向を把握する予定であった。さらにコロナ前よりオーバーツーリズムが観察された観光地で、コロナ後の利用実態の変化、コロナ後の訪問者の意識やポストコロナでの利用制限の実態を調べる計画であり、そのため多くの観光客が訪れる著名な観光地での現地調査を実施する予定であった。さらに2024年度以降に主要観光地を対象としたインターネット調査によるアンケート調査を実施し、回答者の分析対象観光地への訪問動向、居住地、職業等の個人属性、さらに観光地に関する意識を調査する予定である。本研究ではそれらのデータから端点解モデルにより観光客の選好パラメータの推定を実施し、その推定結果から①全国旅行支援、地方限定旅行支援による主要観光地の観光需要の分散と集中の傾向②主要観光地の入場料徴収による観光需要の変化と周辺観光地への分散傾向③主要観光地の立入人数制限に対する観光客の支払意志額等に関して分析を実施していく。 2023年度の具体的な実績としては、環境経済・政策学会2023年大会と日本経済学会2023年秋季大会に参加することで関連分野の最新の研究動向の調査を行った。これらの学会に参加することで、多くの研究者と意見交換や情報交換を行うことができた。 さらに2023年度にはカナダの著名な観光地であるバンフ国立公園、ジャスパー国立公園で現地調査を実施することができた。カナダの国立公園はカナダ環境・気候変動省の組織であるParks Canadaによって管理されている。特にバンフ国立公園内のレイクルイーズとモレーン湖は多くの人が訪問する世界的に著名な観光地であるが、そこではParks Canadaによって多客期に入場制限が実施されている。本研究ではそれらのParks Canadaの国立公園管理運営の実態調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では2023年度には学会参加による研究交流、文献調査による研究動向や政府資料による政策動向の調査を予定していたが、2023年度には実際に環境経済・政策学会2023年大会や日本経済学会2023年秋季大会に参加し、多くの研究者と意見交換、情報交換を実施することができた。さらにカナダの環境経済学者と交流することで環境評価手法、特に旅行費用法の最新の分析手法に関して情報収集することができた。 また2023年度にはコロナ後にオーバーツーリズムが懸念されている観光地において観光客訪問実態を把握するためにフィールド調査を実施する予定であったが、世界的な有名な観光地であるカナダのバンフ国立公園やジャスパー国立公園に実際に調査に赴き、カナダ環境・気候変動省の下部組織であるParks Canadaによる入場料徴収や多客期の入場者数制限の方策を詳しく調査することができた。 2024年度以降は2023年度の研究・調査を継続し、国内外の研究者との交流を進めた上でで国外だけでなく国内の観光地の調査も進めていく予定である。 以上より本研究は概ね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は研究交流や文献調査、現地調査を概ね順調に進めることができた。2023年度はカナダの著名な観光地での現地調査を実施したため、2024年度には日本国内の著名な観光地での現地調査を実施する予定である。それらの調査対象として、コロナ後にオーバーツーリズムが懸念されている富士山、京都、鎌倉等が候補として考えられる。またコロナ後のオーバーツーリズムに直面しているヨーロッパの観光地の調査等も検討していく。 本研究では端点解モデルを適用することで観光客の意識・行動を分析していくが、2024年度と2025年度には端点解モデルを利用してレクリエーション行動を分析する国内外の研究者と積極的に研究交流をしていく予定である。特に、近年端点解モデルに関する論文を数多く執筆しているカナダの環境経済学者との交流を進めていく。 さらに、それら一連の現地調査、研究交流の結果を踏まえ、2024年度以降に主要観光地を対象としたアンケート調査を実施していく。このアンケート調査は無作為に抽出した1,000人程度の一般市民を対象としてWEB調査により実施する予定である。この調査では全国の複数の主要観光地を対象に「訪問回数」、「旅行支援利用の有無」、さらに「居住地」、「所得」、「観光地で重視すること」、「サスティナビリティへの理解度」、「混雑の嫌悪感」等の様々なデータを収集する計画である。本研究ではこれらのデータから端点解モデルにより観光客の選好パラメータを推定し、さらに今後の持続可能な観光で重要となる政策についてシミュレーション分析し、下記の本研究のリサーチクエスチョンに対する答えを追求していく。 ・観光地の入場料徴収はどの程度観光需要を変化させうるか? ・観光地の入場料徴収や入場者数規制は観光客にどの程度受容されうるのか? ・観光地の入場料徴収や入場者数規制は観光客の分散化にどの程度寄与しうるか?
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Causes of Carryover |
2023年度には4回程度のフィールド調査を予定していたが、実際には予定していた回数の調査を実施することはできなかった。そのため2024年度以降に2023年度に実施できなかった残りのフィールド調査を実施する予定である。 以上より、次年度使用額のすべては2024年度以降でのフィールド調査費用、学会参加旅費、アンケート調査費用等に充当する予定である。
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