2023 Fiscal Year Research-status Report
Development of 6Li-doped water based liquid scintillator for detecting secondary neutrons in particle therepy
Project/Area Number |
23K11704
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
岐部 佳朗 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (40583406)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 水シンチレータ / 液体シンチレータ / 陽子線治療 / 中性子測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「大発光量」かつ「粒子識別能力」を持った、実用に耐えうる水シンチレータを開発することである。本年度は「大発光量」について研究を遂行した。 本研究で開発を目指している水シンチレータは、水と有機溶媒、リチウム化合物、界面活性剤、発光剤を混ぜ合わせることで作られる。自身の先行研究では界面活性剤に陰イオン性界面活性剤を用いていたが、溶かせる有機溶媒の量に限界があり、それに伴って発光量も1,000photon/MeVが最大となっていた。そこで本研究では界面活性剤として非イオン界面活性剤を採用することにした。一般に非イオン界面活性剤は有機溶媒を多く溶かすことができる。本年度はこの非イオン界面活性剤として、IGEPAL CO-630やポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、Triton X-100、Triton X-305など合計12種類の薬剤でサンプルを作成し、水シンチレータを作成可能かどうか判定した。 その結果、Triton X-100を20重量パーセントとした水シンチレータの作成に成功し、有機溶媒の含有率もこれまでの陰イオン性界面活性剤では18重量パーセントだったところを、24重量パーセントまで増やすことができた。Triton X-100自体にもベンゼン環構造が含まれていることから、先行研究で開発した水シンチレータ以上の発光量が得られるものと期待できる。 発光量の測定については、自身の所属する施設で測定を実施するための準備としてMPPCの読み出し系の整備やLEDによるキャリブレーションシステムの構築などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の計画では、研究開始から三年程度を目処に使用する非イオン界面活性剤の選定を行う予定になっていた。現時点で先行研究よりも多くの有機溶媒を含むことができる非イオン界面活性剤を選定することができている。今後、発光量や透過度などの物理量を測定する過程で期待した性能を有していないことが分かる可能性もあるが、そうなった場合でも本年度蓄積した知見を活かし、より適した候補を選定できると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本年度作成した水シンチレータのサンプルの発光量や透過度を測定し、目標としている「大発光量」を有しているかなどの判定を行っていく。同時に、より多くの有機溶媒を溶かせるレシピや測定した結果を反映させて発光量と透過度のバランスを取ったレシピの追求などを行っていこうと考えている。
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Causes of Carryover |
本年度は適当な非イオン界面活性剤の選定のため水シンチレータのサンプル作成に注力した。その結果として発光量などの物理量を測定するため研究協力者の研究機関への出張などが行えなかった。次年度使用額は、本年度実施できなかった発光量測定のために使用する計画である。
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