2023 Fiscal Year Research-status Report
Observation of pattern formation in low-energy electron diffraction (LEED) under single electron incidence conditions
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23K11711
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
兵頭 俊夫 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 協力研究員 (90012484)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 低速電子回折(LEED) / 低速陽電子回折(LEPD) / 回折パターン / 量子力学 / 量子ビーム干渉 |
Outline of Annual Research Achievements |
低速電子回折(LEED)の実験において,電子1個1個の検出情報を記録した。電子を1個ずつ数えるために,HEX-DLD(HEX遅延線アノード検出器)を備えたLEED測定装置を用いた。試料として,Cu(001)清浄試料表面を作製し,測定チェンバーの試料ホルダーに取り付けた。LaB6フィラメントを用いた電子銃をLEED測定装置にマウントし,ウェーネルトの電圧値を調整することで,ビーム強度を100 fAのオーダーまで弱くしてLEEDパターンを観測した。この電流値では,2個の電子が試料表面に入射する時間間隔は平均1μ秒以上離れている。そのため,ある電子が入射した後次の電子が入射したときには,最初の電子はすでに試料の外に出ているか,内部で非弾性散乱をして異なるエネルギーになり,LEEDパターンを形成できなくなっている。すなわち,この条件下のLEEDパターンは,1個の電子が自分自身と干渉して生じたものであることが保証されている。LEEDパターンは,電子ビームの入射エネルギーを変えて多数観測した。データは1個1個の電子ごとに時間情報と位置情報をリストモードで記録し,各入射エネルギーに対するLEEDパターンを表示して確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に実施を予定していた,単結晶表面からのLEEDパターンに関して1個1個の電子ごとに時間情報と共に位置情報をリストモードで記録し,そのデータからLEEDパターンを表示するところまで順調に確認することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,LEED(電子)と同様のデータをLEPD(陽電子)でも得ることと,リストモードで記録した1個1個の電子/陽電子の時間情報にもとづき,それらの位置情報を時系列で動画として表示するための解析プログラムを開発していく。
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Causes of Carryover |
交付決定額の範囲で支出し,10,000円以下の次年度使用額が生じた。
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