2023 Fiscal Year Research-status Report
Water dynamics via quasielastic neutron scattering on mechanical properties of multilevel hierarchical polymeric materials
Project/Area Number |
23K11712
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Research Institution | Comprehensive Research Organization for Science and Society |
Principal Investigator |
富永 大輝 一般財団法人総合科学研究機構, 中性子科学センター, 副主任研究員 (50513694)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 水 / 機械強度 / 中性子準弾性散乱 / 階層 / ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリアクリルアミドとポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸) から作成される水溶性の多孔質高分子試料(Double Polymers)は、特異的な機械硬度物性を示す。5wt%程度の水を含む条件では、弾性率、最大破断応力とも絶乾試料よりも大きい。この物質は3階層の高分子鎖の網目構造を有している。このようにウェットなソフトマターの重要な特徴の1つは、水の存在によって物性が大きく影響する。本研究では、水が、階層性を有するソフトマター中のどの階層で、高分子鎖と共に、どのようなダイナミクスを有しているのか、また高分子物質の機械強度へどのように働くのかを中性子非弾性散乱法等を用いて明らかにする。 高分子や水の運動性は、温度にも影響する。温度の影響と、吸水による影響を分けて考える必要がある。高温環境に比べて、低温環境の水蒸気の輸送システムは僅かな蒸気でも結露しやすいことから、環境構築に対する難易度が高い。ダイナミクス情報は、非干渉性の中性子準弾性散乱法を用いて取得する。この手法は、ナノメートル以下のサイズかつ、サブナノセカンドの時空間情報を取得することができる。申請者はJ-PARC MLFのBL02中性子準弾性散乱分光器の装置担当者であるため、これを用いて測定する計画を立てる。本研究の遂行には、低温の僅かな水蒸気を、試料位置に輸送する必要があり、高精度の輸送系の温度制御システムが必要である。試料位置に1番近い、最も水蒸気の輸送に影響を与える部分について、高速に温度制御が可能なガイド管を設計・製作する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
湿度制御手法は多数ある。絶対圧制御は精度が高い一方で、平衡に長時間を要するため、水蒸気のフローによる湿度制御方法を採用した。中性子準弾性散乱分光器においては、試料位置までに様々な温調器があり、これらに影響して、結露などを引き起こすことなく、水蒸気を輸送する必要がある。このために、必要な高速に温度制御できる長尺の高熱伝導グラファイトをステンレスのジャケットに封入した輸送管を設計・製作した。高熱伝導グラファイトは、異方性を有するため、長尺の高熱伝導グラファイトを一度に作成することは出来ない。均一な温度制御のため、高熱伝導グラファイトの各パーツの向きを検討し、それらを互いに接着することで、管内における温度均一性が高い長尺の輸送管の設計製作を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、外部環境の影響を低減するために、この輸送管を真空ジャケットに封入するように拡張する。高熱伝導グラファイト管の温度制御方式はペルチェ温調器を予定している。この輸送系に、水蒸気発生装置と試料管を接続して、試料環境制御システムを完成させる。 システムの完成状況により、低温環境での中性子準弾性散乱測定を行う。試料は電解質高分子ポリ(2-アクリルアミド-2-メチル-1-プロパンスルホン酸)と中性高分子網目ポリアクリルアミド)からなるダブルネットワークゲルから作成する多孔質体(DN-polymers)を用いる。高温側の実験も同様のシステムで実験できる場合は、高温側の実験も同様に行う。得られたダイナミクスのデータから機械強度に関するメカニズムを明らかにする。
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