2023 Fiscal Year Research-status Report
様々な外見のエージェントとの共同注意:人間の情報認識特性に注目した認知科学的検討
Project/Area Number |
23K11787
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中島 亮一 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (30626073)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 視覚的注意 / 共同注意 / 顔 / エージェント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、人間とエージェントのインタラクション(何らかの関わり合い)における共同注意について検討するために、様々な顔画像を視覚刺激として、視線や顔による視覚的注意の誘導効果を調べる実験を行う。エージェントの「顔」として、1. 人間に近い見た目、2. 模式的な顔、3. 顔の要素(パーツ)がほとんどない見た目を対象として、それぞれのエージェント顔との共同注意について検討を行う。また、そのエージェントと事前にインタラクションをすることで共同注意の強さが変わるかを検討する。 2023年度は、人間に近い見た目の「顔」との共同注意について検討するために、人間に近いCG顔を実験刺激として用いた。相手(人間)の顔が見ている方向に、観察者の視覚的注意が誘導されやすいことは、多くの研究で報告されている。本研究では、その顔に対する認識を変えることによって、視覚的注意の誘導効果が変わるかに注目した。人間は、物理スタンス、設計スタンス、意図スタンスのいずれかのスタンスで相手を認識すると言われている。実験では、参加者への事前の教示によって、CG顔を人間の顔かマネキンの顔のいずれかだと想定させた。人間の顔は意図スタンス(意図を持ったエージェント)で認識され、マネキンの顔は設計スタンス(設計図通りに動くエージェント)で認識されると考えられる。共同注意に両者の「ものを見よう」という意図が関与しているのであれば、意図スタンスで認識された顔による視覚的注意の誘導効果が大きくなると考えられるが、現在その実験データの解析を行っている途中である。 また、人間の顔との共同注意と関連したトピックとして、人間の顔表情の認知をからめた研究も進めた。現在、空間的な注意と表情価(ポジティブな表情、ネガティブな表情)の認知の関係について議論を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CG顔を用いた心理実験の準備に予定よりも時間がかかってしまい、実験の開始が遅くなった。そのため、当初予定していた実験データの解析までは年度内に完了させることができなかった。追加の実験も行う予定ではあるが、最初の実験データは取り終えているので、データ解析を速やかに進めることで、進捗の遅れを取り戻せると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
心理実験の準備は完了し、実験を進める段階にはあるので、今後は計画していた心理実験データの取得を着実に進めていく。そして、データ解析も行い、学会発表や論文発表の準備に着手する。 2024年度は、模式的な「顔」との共同注意についての心理実験研究も進める計画であり準備中である。リアルではない「顔」に対して、意図を感じさせる要因を付加することで、視覚的注意の誘導効果が大きくなるかを検討する。
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Causes of Carryover |
心理実験の準備が遅れたことにより、当初計画していたすべての心理実験を行うことができず、実験補助者への謝金、実験参加謝金などの予算に余剰が生じた。そのため、余剰金を次年度の謝金(実験参加者へのギフトカードなど)に充て、心理実験データの取得を進める。また、学会発表や論文発表もこれから行う予定なので、その旅費にも充てる。
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