2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23K11789
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
田中 慶太 東京電機大学, 理工学部, 教授 (10366403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小渕 千絵 国際医療福祉大学, 成田保健医療学部, 教授 (30348099)
原島 恒夫 筑波大学, 人間系, 教授 (70262219)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 聴覚 / 聞き取り / 聴覚情報処理障害 / 脳磁図 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常の聴力検査では異常が認められないにも関わらず,日常の生活における「聞き取り」困難を有する人達が存在する.最近では,聞き取りと発達障害との関連も示唆されている.聞き取り欠損に関する機構として,情報が蝸牛などの末梢から上行して,左右の聴覚野(中枢)に至る聴覚情報処理システムのうち,大きく 分けて末梢と中枢の機能の異常や低下が示唆される.ただ聴力検査で聞き取り異常が認められないため,多くは中枢レベルでの機能低下が大きな要因であると考えられる.そこで本研究の目的は,ヒトの「聞き取り」の機構を中枢(大脳皮質)レベルで解明することである.具体的には,脳磁界計測による聴覚野の律動的脳反応(聴性定常応答)を指標にして聴覚野の活動を調べ,聞き取りの機構の解明を目指す.本研究による言語音の聞き取り機構を解明することで,発達障害との関連性含め,近年の情報機器端末との普及の弊害についての考察の一助になると予想する. 本年度は,2音節の言語音を用いて,両耳に同時に提示する両耳分離聴検査の実験を遂行し,主観的検査による右耳優位性と,課題遂行時の脳磁図を計測して聴覚の定常応答である聴性定常応答の結果を得た.健常者を対象として,43名の行動実験の主観評価による両耳分離聴刺激時に左耳から提示した言語音より,右耳から提示した言語音をより正しく回答する右耳優位性を確認した.また生理心理学的指標として,脳磁図を計測した結果,被験者の右耳優位性に対応する聴覚野の応答を示した. 健常者の聞き取り時における主観的評価である行動実験と生理心理学的指標の結果の相関性,及び聴性定常応答が刺激音への注意に関連していることから,聞き取りにおけるヒトの注意機能の重要性が示された. 本研究内容は,国際会議(IEEE EMBC2023)にて報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,健常者を対象とした脳磁図の計測を行い,健常者の右耳優位性に対する特徴抽出を行い,本研究の見通しが立った.今後は,聞き取り困難者を対象に検討する予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,聞き取り困難者に焦点をあてる.徐々にではあるが,実験参加者への協力も増えてきている.本年度の健常者の結果を比較することで,聞き取り困難者の特徴を抽出する予定である. また研究成果を積極的に,国内外の学会発表や学術誌への論文発表により公表していく予定である.
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Causes of Carryover |
本年度は,昨年度までに計測したデータの解析により,結果を報告したため,人件費・謝金がなかった. 2024年度は,聞き取り困難者を被験者への謝金や,研究成果の発表等の旅費などに重きをおいて,使用予定である.
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Research Products
(7 results)