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2023 Fiscal Year Research-status Report

末梢交感神経系を介したインスリン非依存的血糖制御法に関する基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 23K11801
Research InstitutionYamagata University

Principal Investigator

佐藤 大介  山形大学, 大学院理工学研究科, 助教 (60536960)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 宮本 理人  神奈川工科大学, 健康医療科学部, 准教授 (60456887)
Project Period (FY) 2023-04-01 – 2026-03-31
Keywords末梢交感神経 / 機能的電気刺激 / 糖取り込み / 高脂肪食
Outline of Annual Research Achievements

交感神経系が末梢の糖取り込みに関与する可能性が指摘されており、先行研究では、ラット末梢交感神経への電気刺激が糖取り込みを亢進することを明らかにした。そこで本研究では、末梢交感神経の賦活を介して血糖を人工的に制御する手法の開発を目指して、ラット末梢交感神経への電気刺激が糖代謝系に及ぼす影響について検討した。
実験には標準食または高脂肪食で飼育したラットを用いた。麻酔下にて片側後肢坐骨神経へマイクロニューログラム法を適用することで交感神経信号を導出し、導出に用いた微小電極を介して60分間の電気刺激を行った。
その結果、標準食群の血漿イリシン濃度は電気刺激開始から60分後に有意に上昇したが、高脂肪食群では有意な変化はみられなかった。刺激側及びその対側の骨格筋を摘出し、リン酸化AMPKのタンパク質発現量を測定したところ、標準食及び高脂肪食群ともに、電気刺激はAMPKのリン酸化を抑制する傾向にあった。白色脂肪組織では、標準食群においてミトコンドリアマーカー遺伝子であるCOX IV mRNAの発現が電気刺激によって促進する傾向にあり、脂肪組織中トリグリセライド含有量は減少傾向にあったが、高脂肪食群ではこのような傾向はみられなかった。
以上のことから、ラット末梢交感神経電気刺激が亢進する糖取り込み作用において、骨格筋より分泌されるマイオカインであるイリシンが肝臓や脂肪組織に作用し、糖取り込みの促進に寄与している可能性が示唆される一方で、少なくとも骨格筋でのAMPKを介した系での糖取り込みシグナルはむしろ減弱する傾向にあった。また、この電気刺激は脂肪組織でのミトコンドリア生合成を促進することで脂肪燃焼を惹起する可能性を示すデータが得られたが、高脂肪食はこの作用を抑制する可能性も示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初はストレプトゾトシン投与によってインスリン分泌能を破壊した糖尿病モデルラットを作製して実験に用いる予定であったが、当該モデル動物は多尿を呈するために、床敷の頻回の交換など飼育環境の綿密なケアが必要であった。その一方で研究用試薬やその他消耗品全般の想定外の値上げにより動物飼育環境の整備が不十分となり、結果として十分な数の糖尿病モデルラットの飼育ができなかった。

Strategy for Future Research Activity

当初の予定としては骨格筋での糖取り込みシグナル伝達経路を調べ、末梢交感神経系による糖取り込みメカニズムを明らかにする予定であったが、末梢交感神経電気刺激は骨格筋での糖取り込みをむしろ抑制する可能性を示唆するデータが得られたため、今後は骨格筋以外の組織、具体的には肝臓及び脂肪組織での糖取り込みについて検討していく。方法は試薬の価格が高騰しているウェスタンブロット法から、より安価な2-デオキシ-D-グルコースをトレーサーとする糖取り込み速度の定量に切り替え、生じた余剰予算は、現在遅れがみられるストレプトゾトシン誘発糖尿病モデルラットを用いての実験に振り分けられることになるため、今後はこの実験を重点的に推進し、当初の計画を達成する。

Causes of Carryover

骨格筋での糖取り込み経路を調べる実験の途上で、当初予想していた結果が得られない見込みが立ったため、当該実験を中止した。今後は糖取り込みの標的器官を全身性に探索するため、グルコースの類自体をトレーサーとして投与する実験に切り替える。次年度使用額はこの実験に使用する試薬類の購入費用に充てる。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] インスリン非依存的糖取り込み亢進を目指した末梢交感神経電気刺激の有用性とその問題点2023

    • Author(s)
      佐藤大介, 今泉希, 楠正隆, 馮忠剛, 中村孝夫
    • Organizer
      第62回日本生体医工学会大会
  • [Presentation] Effects of electrical microstimulation of peripheral sympathetic nerve on blood glucose control in rats2023

    • Author(s)
      Daisuke Sato, Nozomi Imaizumi, Ryoichi Banno, Licht Miyamoto, Tadashi Saitoh, Zhonggang Feng, Masataka Kusunoki, Takao Nakamura
    • Organizer
      IDF-WPR Congress 2023
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] ラット末梢交感神経系を介した血糖調節機構における骨格筋・肝・脂肪組織の連関と高脂肪食によるその抑制2023

    • Author(s)
      佐藤大介, 今泉希, 板橋紗江, 坂野僚一, 楠正隆, 宮本理人
    • Organizer
      第97回日本薬理学会年会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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