2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the mechanism of regulation of HGF expression in small chemical compound-induced HGF-producing cells
Project/Area Number |
23K11807
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
倉橋 敏裕 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00596570)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 細胞再生医学 / 細胞医薬 / ダイレクトリプログラミング / HGF |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞医薬は、体外で加工または改変することにより細胞に新たな機能を搭載させて治療に用いる次世代医薬品である。脊髄損傷などの、これまでに抜本的な治療法のなかった疾患の新たな治療に利用されることが期待されている。細胞医薬のリソースとしては、ES/iPS細胞由来の細胞や間葉系幹細胞などの体性幹細胞の利用が期待されているが、一方で、多分化能を有する幹細胞の利用は腫瘍化リスクなどの安全性の問題ならびに、時間・コストを要するといった問題点がある。近年、そうした幹細胞を治療に用いる際の問題点を克服する目的で、ある種の体細胞を、多能性幹細胞を経ることなくダイレクトに他の種の体細胞へと変換するダイレクトリプログラミン技術が発展してきた。さらには、遺伝子操作による予期せぬゲノムへのダメージに起因する腫瘍化も避ける目的で、低分子化合物をもちいたダイレクトケミカルリプログラミングの手法も発展しつつある。 所属研究室では、ダイレクトケミカルリプログラミングにより、ヒト線維芽細胞からHGFを高発現する細胞を作出した。先行研究では、その細胞が生体で機能するか否かを検討する目的で脊髄損傷モデル動物での治療効果を検討した。その結果、ラットおよびマーモセットの両方において一定の治療効果を確認した。 HGFは多様な生理作用を持つため、様々疾患に対する治療への応用が期待されている。一方で、多機能ゆえの副作用が懸念される。細胞医薬の目標の一つは、投与した細胞が、必要な時に、必要なレベルの機能を発揮することにある。そのためには、対象とする細胞の機能発現メカニズムの理解が必須である。そこで、上記HGF産生細胞におけるHGF遺伝子発現制御メカニズムを解明することを本研究の目的とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、所属研究室が作出したHGF産生細胞における、HGF遺伝子発現制御メカニズムの解明である。遺伝子発現制御は、細胞内外の刺激に応答したシグナル伝達とその下流で最終的に機能する転写因子などのトランス-エレメント、および、それらが作用するゲノム配列側のシス-エレメントの相互作用により制御されている。研究期間の前半では、主にトレンス-エレメント側の解析に注力し、その結果や過去の知見をもとに、研究期間の後半ではシス-エレメントの解析を進める予定である。 先行研究で行ったRNA-seqの結果および、予備的実験の結果等から推定されるトランス-エレメントの解析を遂行中である。しかしながら、そうしたトランス-エレメントの活性化・不活性化を調べたところ、タンパク質レベルそのものが減少しているという予想外の結果を得た。したがって、研究計画に修正が必要と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
既述のとおり、過去の知見などから最も重要ではないかと推定した転写因子は、活性化でも不活性化でもなく、タンパク質レベルそのものが減少していた。また、調べたかぎりにおいては、他の幾つかの転写因子のタンパク質レベルも減少していた。今後は、こうした特定のタンパク質レベルの減少がHGF遺伝子の発現制御に関与するのか、また、関与するとしたらどのように関与するのかを明らかにする予定である。一方で、それらのタンパク質の分解がHGF遺伝子の発現制御に関与していない可能性も想定して、引き続きHGF遺伝子の発現制御に関与するトランス-エレメントの探索を行う。
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Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況」で述べたとおり、初年度では予想していなかった結果を得た。そのため、計画どおりの予算使用計画を遂行できなかった。初年度で使用しなかった予算に関しては、新たな実験計画の遂行に使用する予定である。
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