2023 Fiscal Year Research-status Report
Studies on motility control mechanism of mammalian sprematozoa using ATP imaging
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23K11818
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
松浦 宏治 岡山理科大学, 生命科学部, 教授 (70443223)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森松 賢順 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (70580934)
若井 拓哉 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 准教授 (60557768)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 精子運動性 / ATP / 代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)蛍光イメージングにおける強度解析の結果から、ヒト精子内のATP量は鞭毛尾部側よりもミトコンドリアが存在している頸部の方が多いと示唆された。不動精子の場合、ATPが消費されずに産生し続ける場合があるために、蛍光観察が容易であった。運動精子は移動するために露光時間を十分に稼ぐことが困難であったことから、蛍光輝度分布と精子運動速度との関係を各動物種の精子で評価するための工夫が必要と考える。例えば、精子頭部の固定が挙げられる。阻害剤3-bromopyruvate (3BP)をヒト精液に添加し、5分後程度に観察した際には、頸部に存在する発光強度の減少が観察された。よって、本蛍光顕微観察系が本研究の目的であるATPイメージング実験に適用できると認識する。 2)酸素濃度を大気よりも増大した環境内にヒト精子を置いた場合、大気中の場合と比較して、ヒト精子内ATP産生量の増大が見られた。また、この場合、精子運動性、特に頭部振幅が上昇した。頸部に存在するミトコンドリアの活性が上昇し、ATP生成量が増加し、その結果頭部振幅が上昇したものと考える。 3)エクオリン・セレンテラジンの化学発光による細胞内カルシウム濃度評価を試みているが、試験紙上でのシグナルの分布が均一ではないために、化学発光ではなく、蛍光顕微観察中心の評価を考えている。一方、ルシフェリン・ルシフェラーゼを用いた化学発光によるATP発光を試験紙デバイスで評価する系は機能しているために、その原因を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1年目で、精子のATP蛍光イメージングが可能な基本的な条件をほぼ決めることができたため。また、精子運動速度を上昇可能でかつ実験的に難易度の低い系も発見できたことから、今後定量解析に資する実験系の構築が進んだと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
1)蛍光イメージングを継続し、精子頭部を固定した状態での運動速度とATP由来の蛍光強度との関係を議論する。 2)運動速度を上げられる方法として酸素処理が有効か検討する。具体的には、DNAの損傷がないかチェックする。 3)精子運動を活性化する薬剤の探索を行う。特にATP産生量を増やす酵素のアクティベーターを候補とする。 4)カルシウム・ATP同時イメージングによる精子運動に関わるシグナリング経路同定の実験を進める。
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Causes of Carryover |
蛍光試薬を令和6年度に購入するために繰り越した。
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