2023 Fiscal Year Research-status Report
液液相分離を惹起する酵素応答性ウレイド高分子の設計
Project/Area Number |
23K11846
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
嶋田 直彦 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (10423972)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | UCST / 酵素 / 相分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では体内に存在する酵素を利用することで、温度応答性のウレイド高分子の親疎水性を変化させ、液液相分離現象が起きるような酵素刺激応答性ウレイド高分子を設計することが目的である。今までに疎水性の官能基をウレイド高分子に導入した場合、相分離温度が上昇することを報告してきた。しかし、親水性の分子を導入した際、相分離温度がどのように変化するかの知見が不足していた。本年度はウレイド高分子への親水性分子の導入が相転移温度に与える影響を調べた。最初にポリアリルアミンに対してシアン酸カリウムを添加することで90mol%程度のウレイド基を有するウレイド高分子を合成した。その後、親水性である糖分子を還元的アミノ化によりウレイド高分子に導入した。透析により精製を行い、凍結乾燥によって目的の糖修飾ウレイド高分子を得た。糖の修飾率はNMR測定によって求め、ウレイド高分子上に残存する10mol%のアミノ基すべてに糖が導入されていることを確認した。合成した糖修飾ウレイド高分子を生理的pHおよび塩濃度を有するHEPES-NaoH緩衝液に分散させた。その後、様々な温度で透過率の測定を行った。透過率曲線より相転移温度を求めた。その結果、糖修飾ウレイド高分子は糖導入前のウレイド高分子に比べて大幅に相転移温度が減少したことが示された。以上の結果より、ウレイド高分子に親水性を付与すると相転移温度が減少することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
親水性の効果を明らかにできており、ウレイド高分子に導入した酵素基質の親疎水性が変化させることで目的の酵素応答性高分子が得られると考えている。本研究は順調に推進されている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はウレイド高分子への親水基の導入が相転移温度に与える影響を調べた。 疎水性の向上は相転移温度を上昇させ、一方で親水性の向上は相転移温度を下降させることを明らかにした。今後はターゲットする酵素の基質を導入した分子の合成を行い、酵素反応によって相分離を引き起こすがどうかを調べる。
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Causes of Carryover |
当初の予定より実験が上手く進行したため。差額分は実験数の増加並びに導入基質量を変えた高分子の作製に使う予定である
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