2023 Fiscal Year Research-status Report
視床亜核容積を用いた自動パーキンソン病分類法の開発
Project/Area Number |
23K11880
|
Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
佐光 亘 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60581155)
|
Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | パーキンソン病 / 視床亜核 / 容積 / MRI / サブグルーピング / 中脳 |
Outline of Annual Research Achievements |
パーキンソン病(PD)は、治療薬への反応性も含め多彩な臨床症状を症例ごとに呈する。 客観的なサブグルーピング法を確立し、それに基づく最適化された治療選択を実現するために、MRIから測定できる視床亜核容積と中脳サイズを用いた研究を行った。実際の臨床で簡便に実行できる中脳サイズ測定法としてOne Line Methodを考案し、この方法によりパーキンソン病と似て非なる非定型パーキンソン症候群の一つである進行性核上性麻痺 (PSP)の中脳萎縮を捉えることができ、鑑別診断法として有用であることを報告した。中脳萎縮はPSPの所見でありPDでは稀であると考えられてきたが、122例のPDを対象に中脳サイズを測定すると10.5mm未満の軽度萎縮は19.7%、9.5mm未満の萎縮は4.9%に認められた。そしてこの中脳サイズは視床亜核の中では、mediodorsal medial magnocellular nucleus (MDm)、paracentral nucleus、parafascicular nucleus、ventral anterior nucleus、ventromedial nucleusなどの容量と優位に相関していた。特に相関が強いMDmはbasolateral limbic systemを構成する部位であり、もう一つの構成部位である扁桃体容量とも相関を示した。basolateral limbic systemは感情・情動などと関連することが知られ、中脳サイズは、PDの感情・情動などと関連する非運動症状のバイオマーカーの候補となりうる。視床亜核容量の中でMDmが本来PSPで見られる中脳萎縮と関連があることから、MDmを中心とした視床亜核容積を用いたクラスタリングがPSP類似の予後不良な症例を見出すPDサブグルーピングを可能とするかもしれない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では以下のような実績が得られ、おおむね順調に進んでいると自己評価した。 ①PDでも中脳萎縮を示す一群が存在することを明らかにした。 ②PDの中脳サイズはMDmを含む複数の視床亜核容積と相関を示すことを明らかにした。
|
Strategy for Future Research Activity |
運動・非運動症状のスコアを含む詳細な臨床情報とMRIが紐づけされた症例をさらに集め、視床亜核容積を個別に測定し、k-means cluster analysisによりクラスタリングを行い、得られた各クラスターを臨床的特徴と紐づける。
|
Causes of Carryover |
(理由) 本来予定していた海外出張はせず、アクセプトされた論文のオープンアクセス費用に充てたが、予想外の円安であり差額が生じた。 (使用計画) 次年度使用額は、新たに投稿する予定である論文のオープンアクセス費用、大量のデータ取得に伴う避け難い慢性的な外付けハードディスク不足に対して使用したい。
|