2023 Fiscal Year Research-status Report
UWB通信を用いた放射能汚染検査時の検出器軌跡の可視化と管理システムの構築
Project/Area Number |
23K11914
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
細川 翔太 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (20790554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 康幸 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (40404925)
小山内 暢 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (40514138)
冨澤 登志子 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (70333705)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 汚染検査 / 手技評価 / UWB |
Outline of Annual Research Achievements |
非密封放射性核種を扱う施設は、使用前後のサーベイが重要であり最も多用されるのがGeiger muller(GM)サーベイメータである。GMサーベイメータは持ち運び可能であり、放射線検出部(プローブ)を隈なく走査する必要がある。正しい手技で扱われているか、どこを走査するかは作業者次第であるため、その汚染検査の記録を残すことが管理の信頼性を高めることになる。このプローブと作業面の距離、走査スピード、位置情報を取得するシステムの構築を行った。 当該年度ではまず、各種センサーの選別を行った。プローブに取り付けてデータを取得するため可能な限り軽量で小型のセンサーが適している。また、配線の数も少なくする必要があり、通信速度の観点から適切な通信方法を選択した。 加速度を積分して得られた速度情報にはドリフトによる誤差が蓄積し、期待したデータが得られなかったため、加速度センサーだけでなくジャイロセンサーが一体化されているものを選択することでセンサーフュージョンの技術によってドリフトを軽減できると考えた。しかしながら、解決には至らなかった。研究期間の都合上、他の手段を模索し光学マウスに利用されているオプティカルフローセンサーに着目した。本課題ではGMサーベイメータが作業台の表面を低空で飛行することから、光学マウスの動きに類似しており良い適応であることが分かった。オプティカルフローセンサーは距離によって出力が変わりるため、いくつかの距離および速度でデータを測定したところ、1cm未満の距離は適さないこと、10cm/sの速度においても問題なく測定可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は汚染検査手技の記録(データ)を取得するシステムの構築に取り組んだ。具体的には①プローブと汚染検査表面の距離・走査スピードの取得、②空間座標の取得である。①に関しては当初の計画通り、距離センサーおよび加速度センサーを用いた検討を行った。しかしながら、加速度センサーの情報を積分して得られる速度情報は誤差の蓄積によりデータが発散してしまい、長時間の速度計測は困難であった。また、測定する速度が一般的な用途(km/h)よりも非常に遅い(cm/s)ことも精度の低下につながった。その代替手段として光学マウスに使われるオプティカルフローセンサーを用いることで速度の計測を試みた。表面から距離が大きくなるに従いオプティカルフローの出力が小さくなることが観察されたが、距離センサーの値を用い補正することで距離に依らずに一定の値を出力可能であることが確認できた。②に関しては超広帯域無線通信(UWB)を行うことで空間的位置の推定(誤差20cm程度)が可能であった。当初、リアルタイムによる位置推定を計画していたが、計算コストの問題から現時点では測定後に計算およびフィルタリングを行い、軌跡を表示することとした。現時点では、障害物のない空間で測定を行っているが人を含めた障害物を配置した条件においても検討を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
UWBによる空間位置の推定は現時点で誤差20cm程度であるが、障害物が存在する場合には推定精度の低下が予想されるため、今後はUWBセンサーの数を増やし、位置推定のアルゴリズムを改良する予定である。方法としては最適なセンサーの選別を行う、もしくは人工知能を用いた教師あり学習を行うなどが考えられる。センサーの配置についても改善の余地があり、先行研究では地表から高い位置に配置している例が散見されたため、その点に関しても検討を行う予定である。 また、これらのセンサーをプローブに取り付けるためのアタッチメントの作成を行う。プローブを3Dスキャナーでモデル化し、モデリングソフトを用いてモデルを作成し、3Dプリンターで作成する。今後はモデリングソフトの学習に取り掛かる。また、距離センサーおよびオプティカルセンサーが一体化したセンサーを利用することを検討している。
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Causes of Carryover |
主に旅費に使用する金額が少なかったためである。当初の計画によるシステムの構築方法では計測データに雑音が積算する影響が無視できなかった。この影響を排除するために、フィルタ処理など様々な方法を試行錯誤したが、解決には至らなかった。この問題はその後に、使用するセンサーを変更することによって解決したが、システムの構築が遅れたことで、被験者による実測まで進まずに学会発表するに至らなかったためである。 本システムの実際の利用を考えるとセンサーの小型化が必要であり、距離と速度センサーが一体型になったものに変更する。差額はそれらのセンサー(必要分)を購入する費用に充てる。
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