2023 Fiscal Year Research-status Report
歩くと見える振動ビジョン: 距離変化・差分に基づく振動刺激からの空間知覚過程の解明
Project/Area Number |
23K11970
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
中村 明生 東京電機大学, 未来科学部, 教授 (00334152)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武川 直樹 東京電機大学, システムデザイン工学部, 研究員 (20366397)
小林 春美 東京電機大学, 理工学部, 特定教授 (60333530)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 空間知覚 / モダリティ変換 / 振動刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,歩行のための空間知覚形成実験を行うことで「センシングされた奥行き距離の変化・差分情報から空間知覚を得る過程のモデル化」を目的とする. 人は歩行に必要な周囲環境の空間知覚を,歩行で生じる外界の視覚特徴の見かけの位置変化・差分情報から得ている.これまで「視覚としての距離の変化・差分情報を触覚としての振動刺激にモダリティ変換して人に提示することで空間知覚が成立する」ことを実証してきた.開発中のシステムを,距離の変化・差分から振動刺激を生成する振動視覚システムとして,「VibroVibro-eyesight by Walking Walking; VieW」と呼称する. 研究計画では『■2023年 ユーザ表象に基づくメンタルマップ形成過程の解析: 現在の研究から継続して,環境をより一般環境に近い形に複雑化し,面間隔や分岐の把握,通過可否の判断に関する実験を行う.』を挙げていた. 2023年度は,開発中のVieWシステムと,類似の先行研究として,障害物との距離値から直接振動刺激を生成する「Electronic Travel Aids; ETAs」を用いて,壁面定位課題,通路歩行課題といった歩行実験を通して,それぞれのシステムの特徴の明確化を目指した.歩行中の位置姿勢のデータ,映像データ,歩行中の発話データを取得し,さらに歩行試行後に実験協力者に歩行のしやすさ,安心感などの印象について質問調査を行い,得られたデータの総合的解析に関する知見を得た.これはユーザ表象に基づくメンタルマップ形成過程の解析の重要な一過程である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
全体的に,ほぼ予定通りに進捗しており,「おおむね順調に進展している.」と自己評価する. (A)理論提案(モデル化),(B)実空間及び仮想空間での歩行実験検証,(C)システム開発に関して,理論提案,知見獲得,手法検証,実機開発の局面で情報をサイクル的に相互フィードバックして研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
原則として申請書に記載した項目を実施する.研究分担者からの知識提供や実験計画立案・検証などの協力を得つつ,研究代表者及びその指導下の大学院生複数人で構成される研究グループを形成して研究を推進する現時点の体制を維持していく.
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Causes of Carryover |
(理由)主にソフトウェア開発に注力したため,物品費に関しては電子機械部品の購入が最低限となり,予定より圧縮できた.旅費は特に国際学会旅費高騰の関係で予定より増大した.担当学生を中心とした基礎的な検証実験のため,本格的な被験者実験に至らず,謝金支払いが発生しなかった.国際会議には投稿したが,英文校正は利用せず,費用が発生しなかった. 補助金の計画的かつ適正な使用のため,余剰分を次年度に繰り越すこととした. (使用計画)前年度繰越分は,電子機械部品等の物品費他,当初予定にのっとり使用する予定である.
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