2023 Fiscal Year Research-status Report
在宅血液透析の自己穿刺を1回のみにする脱血・送血が別流路型デバイスの開発
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23K11986
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Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
苗村 潔 東京工科大学, 医療保健学部, 教授 (90302752)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | シングルニードル / カテーテル / 透析効率 / 射出成形機 |
Outline of Annual Research Achievements |
在宅血液透析ではバスキュラーアクセスへの穿刺を患者自らが行なうことが多く、送血用と脱血用に向きを変えて針を2本穿刺するのは困難であり、穿刺痛による生活の質低下の要因となっている。本研究では、シングルニードルのカテーテルを送血と脱血で別々に形成する針を新たに開発して評価することを目的とする。今年度は、既存のシングルニードルについて理解を深める測定と実験、カテーテル試作に向けて樹脂の射出成形機について情報収集した。研究の進め方として、カテーテルに作製する穴の位置や大きさを数値解析により検証し、シングルニードルの性能評価として透析効率、再循環率の測定回路を製作し、可搬型射出成形機により穴の開いていないカテーテルモデルを製作し、穴の位置を変更して評価する方針を立てた。 既存のシングルニードルのカテーテルおよび針先を顕微鏡観測した。カテーテルの先端には直径1.18 mmの穴が、側壁には直径0.645 mmの穴が4か所空いていた。この測定結果を数値解析に適用することとした。 カテーテルの性能を評価するために、大学で所有している人工透析装置をシングルニードルモードで動作させ、クレアチニン溶液の濃度を吸光度計により測定して、透析効率を求めた。実験の結果は、ポンプ流量200 mL/minでは60 %であり、新規開発するカテーテルは透析効率60 %以上を実現すべき機能として設定した。 可搬型射出成形機に合わせた型を製作する企業と打ち合わせを開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シングルニードルに関する先行研究は少数で、シングルニードルモードでの評価実験系構築や、カテーテル試作の方法検証などが研究代表者には未経験の事項であり、研究の進め方を決めるのに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
流体解析ソフトウェアの導入とカテーテルモデルの穴の位置と大きさによる流れの変化を検証すること、再循環率を評価する実験系を構築すること、可搬型射出成形機を購入してカテーテル試作を開始することを同時進行させる。
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Causes of Carryover |
研究代表者が未経験の内容が多く研究方針を決めるのに時間を要したこと、コロナ禍で延長して実施している別の基盤研究(C)と併行したため、数値解析や評価実験装置製作で予定していた予算執行がなく、次年度使用額が生じた。 令和6年度は流体の数値解析ソフトウェアに40万円、可搬型射出成形機に30万円、カテーテル用の型製作に40万円、再灌流率を測定する実験装置製作や試薬のために5万円を予定している。
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