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2023 Fiscal Year Research-status Report

合理主義哲学による敬虔主義神学の受容と展開の観点からの近世ドイツ哲学史の再検討

Research Project

Project/Area Number 23K11994
Research InstitutionToyo University

Principal Investigator

津田 栞里  東洋大学, 文学部, 講師 (50961992)

Project Period (FY) 2023-04-01 – 2028-03-31
Keywords18世紀ドイツ哲学 / バウムガルテン / カント / 哲学史
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、ドイツ啓蒙期において敬虔主義神学は合理主義哲学にどのような理論的貢献を果たしたのかという問題意識のもと、ライプニッツやヴォルフに連なる合理主義者という評価からの脱却が進むバウムガルテンに注目して、合理主義哲学が敬虔主義神学をいかに受容・展開したのかを解明し、その成果を踏まえて敬虔主義神学という伏流に注目する立場から近世ドイツ哲学史を再検討することである。
上記の目的意識のもと、2023年度は、歴史学の手法に依拠する思想史研究と哲学史研究の相違を検討するために、「論争に焦点を当てる方法」を提唱したJ・イスラエルの主要著作とその関連研究を整理した。その成果の一部は、予定通り日本哲学会大会(2023年5月/早稲田大学)で報告し、さらに紀要論文「なぜスピノザに注目して十八世紀ドイツ哲学史を描くのか:哲学史の方法論 試論(一)」(『白山哲学』58、2024年)として公開した。
また、当初は予定していなかったものの、バウムガルテン実体論をカントの実体論と比較する機会を得たことで、より精確に18世紀ドイツ哲学史のうちに位置づけるための見立てを獲得することができた。その成果は、日本カント協会大会(2023年11月/群馬大学)のシンポジウム「カントとバウムガルテン」で報告し、同学会誌に寄稿した。しかしながら、予定していた国際誌Ergoの投稿には至らなかった。
加えて、当初予定していたドイツ啓蒙研究および従来の近世ドイツ哲学史記述のサーベイや、ジークムント・ヤーコプとランゲに関する先行研究を整理を十分に実施することができなかった。したがって、18世紀ハレの敬虔主義神学者がライプニッツやヴォルフ等の合理主義哲学に向けた批判の論点の抽出、また、〈ドイツ啓蒙期(とりわけハレ)における敬虔主義神学者間にどのような立場の違いがあるのか〉という問いは2024年度の課題として残された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

バウムガルテン研究に関しては当初の予定よりも進展した部分はあったものの、本研究課題の中核となる18世紀ドイツ思想史全体の見取り図を獲得するための作業、具体的にはハレを中心とするドイツ敬虔主義神学に関するサーベイに関しては、やや遅れている。また、国際的な発信まで至らなかったことも本研究課題の進捗がやや遅れていると判断した所以である。

Strategy for Future Research Activity

2024年度は、〈ドイツ啓蒙期(とりわけハレ)における敬虔主義神学者間にどのような立場の違いがあるのか〉という問いを2023年度から引き継ぎ、当初より予定していたジークムント・ヤーコプとランゲに関する先行研究の整理や一次文献の精読に取り組む。それによって、2023年度の交付申請時での計画通り、2024年度内に上記の問いに関する成果を論文として公開することができると考える。
バウムガルテン研究に関しては、2023年度に予定以上の進捗があったため、継続的に研究を推進するとともに、現状の研究成果を国際誌に投稿することを目指す。2024年度以降は、〈バウムガルテンはライプニッツ主義者か?〉という問いを設定し、より精確に18世紀ドイツ哲学史のうちにバウムガルテンを位置づける。

Causes of Carryover

予定していた欧文誌への投稿ができなかったことで、その分の英文校正にかかる費用が繰り越しとなった。今年度はその用途で使用する予定。

  • Research Products

    (4 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (3 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] なぜスピノザに注目して十八世紀ドイツ哲学史を描くのか:哲学史の方法論 試論(一)2024

    • Author(s)
      津田栞里
    • Journal Title

      白山哲学

      Volume: 58 Pages: 199-220

    • Open Access
  • [Presentation] 哲学史と思想史の交叉――J・イスラエルの「論争に焦点を当てる方法」は哲学・哲学史研究にとっても有効でありえるのか2023

    • Author(s)
      津田栞里
    • Organizer
      日本哲学会 第82回大会
  • [Presentation] 現象とは何か:バウムガルテンにおける美の定義を端緒として2023

    • Author(s)
      津田栞里
    • Organizer
      第 33 回 白山哲学会
  • [Presentation] 実体は力であるのか、力をもつのか:カントによる批判からのバウムガルテン『形而上学』読解2023

    • Author(s)
      津田栞里
    • Organizer
      日本カント協会 第48回大会
    • Invited

URL: 

Published: 2024-12-25  

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