2023 Fiscal Year Research-status Report
Collection and Analysis of Metaphorical Expressions in Medieval Japanese
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23K12198
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
菊地 礼 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, プロジェクト非常勤研究員 (20963458)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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Keywords | 比喩 / 言語資源 / 文法 / 日本語史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本語の古典語、特に中世(鎌倉~室町期)のテクストを対象として比喩表現の基礎的な研究資源を構築している。また、構築した研究資源を用いて、古い時代の比喩がどのような意味・文法的な規則を用いて形成されているか、比喩がどのような意図・目的で運用されているかを調査・分析している。
日本語の比喩表現の歴史的研究はほとんど進展しておらず、どのような資料にどのような比喩が分布しているのか、比喩がどのように形成されているのか、比喩をどのような意図で用いているかが明らかになっていない。古語は内省が利かないため、実例ベースで進める必要があるが、そのための基礎的な言語資源が構築されていないことが大きな要因である。そこで言語資源構築として、『方丈記』と『虎明本狂言集』からの比喩の抽出が完了し、合わせて意味や文法的な情報も付与した。作業を行う中で、追加で付与すべき情報についても検討を行った。
『方丈記』では形態的な有標性を持たず、文脈の中で比喩かどうか理解される「文脈比喩」が多く用いられることが分かった。また、指標比喩(≒直喩)を構成する文法形式の種類が時代の下った『虎明本狂言集』よりも多いことが分かった。比喩を構成する文法形式の種類が時代・ジャンルなどによって異なることを明らかにした。以上の調査結果はEvidence based Linguistics 2023にてポスター発表を行い、優秀発表賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由:『方丈記』『虎明本狂言集』からの比喩の抽出及び意味・文法情報の付与が完了した。また、『今昔物語集』『十訓抄』の比喩の抽出作業がほぼ完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.データの構築 『今昔物語集』『十訓抄』からの比喩の抽出を速やかに行う。また、『徒然草』『宇治拾遺物語』からの比喩の抽出を行う。その後、抽出した比喩表現に対して意味・文法的な情報を付与する。
2.比喩の意味・文法的分析 1.により研究の基礎となるデータが揃う。その後、付与した情報を活用し、比喩がどのような意味分野の語を用いて形成されているか、どのような文法形式・構文により形成されているかという比喩の成立メカニズムを分析する。
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Causes of Carryover |
研究用のPCを購入する予定であったが、以前から使用していたPCによって遂行可能であったため、物品の購入費に余りが出た。しかし、当該PCが不調であるため、今年度は新規にPCを購入する必要がある。また、旅費について、東京都内で学会が開かれることが多く、旅費の金額が大きくならなかったため、余りが出た。今年度は所属が変わり、長野県から学会に参加するため、旅費が前年度よりも必要となる。
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Research Products
(4 results)