2023 Fiscal Year Research-status Report
中国人日本語学習者の音声習得に及ぼすシャドーイング自習課題の効果に関する研究
Project/Area Number |
23K12211
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
GUO YUXIN 長崎大学, 留学生教育・支援センター, 助教 (50945350)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | シャドーイング自習課題 / 日本語の音声習得 / 上級日本語学習者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中国人日本語学習者が第二言語である日本語の音声を習得するために自ら行える「シャドーイング自習課題」を開発する目的で、実験的検討を行っている。 令和5年度では事前のパイロット研究を行った上で、上級日本語学習者80名を対象に本実験を行い、データを分析し、課題の有効性を検証した上で、研究成果の発表を行う予定になっていた。「本研究の実施とスケジュール」に沿って、令和5年の2月と3月には、先行研究の再確認、実験計画の具象化、実験用材料文の準備を行った。5月と6月には、勤務している大学でパイロット研究を行い、実験計画と実験用材料の修正を行い、中国の大学の何校かにご協力を求め、本実験の実験協力者の募集を行った。12月に本実験の実施に備え、最新の教育工学技術について学び、実験用プログラムの修正を行った。令和6年3月に、中国の大連理工大学と遼寧師範大学にて、計102名の中国人学習者を対象に本実験を行い、令和5年度の実験計画にあった「上級日本語学習者」の実験データの分析を始めた。 一方、実験協力者の日本語レベルに関して、不揃いの程度は予想より大きかったため、「上級日本語学習者」の実験協力者を追加し、実験データを追加する必要があることがわかった。現在は、追実験を行っており、6月に修了する予定である。また、令和5年度に行った本実験のデータの中に現れた「中級日本語学習者」のデータに関しては、令和6年度に行う予定である「中級日本語学習者」対象の実験データとして保存し、これからデータの処理と分析を行う。 令和5年度の進捗状況に関しては、予定よりやや遅れているものの、各レベルの実験協力者を対象とした本実験の実施方法や実験材料が確定でき、今後の実験を効率よく実施するために、良い影響をもたらしている。また、令和6年度に予定している一部の実験もでき、本研究にとって有意義な作業と時間であると言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和5年度の進捗状況に関して、やや遅れている状況である。その理由は2つである。 1つは、当初予期していなかった通常業務の状況の影響である。申請時は、所属部署の状況から判断し、エフォートを30%に設定し研究計画を立てた。しかし、4月に人事変動があった上に、6月から病養のためにご不在の方の業務を受け継ぎ、通常業務がさらに増え、多くの時間をかけなければならない状況であった。そのため、6月から年度末の1月までの間は、研究に用いられる時間がほぼ取れずにいた。その影響で、予定していた7月までの本実験プログラムの修正もできず、8月と9月に予定していた本実験の実施もできなかった。 もう1つは、実験協力者の日本語レベルに対する認識に食い違いである。実験協力者の募集では「上級であること」を条件としたにもかかわらず、本実験で確認したところ、条件に満たしていない実験協力者も多数いた。そのため、現在も追加実験を行わざるを得ない状況である。その影響で、データの処理と分析が遅れており、年度内に終わらせることができなく、予定よりやや遅れている状況になった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度末に行った「上級日本語学習者」を対象とした本実験では、実験協力者の日本語レベルの不揃いの程度が予想より大きかったため、現在は、「上級日本語学習者」の実験協力者を追加し、追実験を行っており、令和6年度6月までに修了する予定である。その後、令和5年度末に得た実験データに加え、更なる実験データの処理と分析を行うが、素早く終わらせる予定になっている。その後、8月末の締め切りまでに論文を書き上げ、香港日本語教育研究会に学術論文として投稿を行う。また、当初の令和5年度の計画であった学会での口頭発表も、本年度の11月の日本語教育学会の秋季大会か、または、12月の第二言語習得研究会の全国大会にて、令和5年と令和6年の研究成果に関する口頭発表が実行できればと考えている。 一方、本実験の進行に関しては、「上級日本語学習者」を対象とした検討が終了した後、9月には本年度の予定である「中級日本語学習者」を対象とする本実験を行う。12月までには、実験を終了させた上で、必要に応じて追実験まで行う。また、令和5年度末に行った本実験のデータの中に現れた「中級日本語学習者」のデータも、本年度の「中級日本語学習者」の実験データとして処理と分析を行う。 「中級日本語学習者」を対象とした本実験で得るすべての実験データは、本年度末の3月までに分析、処理とまとめを終わらせ、次年度の4月半ば締め切りの中国四国教育学会の『教育学研究ジャーナル』か、4月末締め切りの留学生教育学会の『留学生教育』への投稿を目指し、論文を書き上げていく。
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Causes of Carryover |
当初令和5年度内に完了する予定であった「上級日本語学習者」を対象とした実験は、現在も追加実験を継続しているため、実験協力者及び実施協力者への謝金が未完で、人件費の繰り越しがあったこと、また、実験の実施状況がやや遅れていることによって、令和5年度内に購入した対象物品が予定よりも少なくなったため、次年度使用額が生じた。 したがって、次年度の使用計画として、実験協力者及び実施協力者への謝金の支払い、また、実験の遂行に必要な機材、消耗品、書籍などの購入を予定している。
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