2023 Fiscal Year Research-status Report
Yugoslav Veterans' Anti-Fascist Movement and Memory Politics during the Cold War
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23K12304
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
門間 卓也 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (90868291)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 社会主義 / ナショナリズム / 記憶政治 / ジェンダー |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間の初年度にあたる2023年度は、主に関連文献の収集と講読、および研究対象地域(クロアチア、セルビア)に渡航して文書館での史料調査に取り組んだ。とりわけ第二次大戦期の被災地における記念碑建立事業が60年代に進展した過程について分析を進めた。その結果、退役軍人団体の史料や刊行資料(新聞・雑誌)を基に、虐殺の舞台でもあったヤセノヴァツにおける記念碑建立事業に関する共産党関連組織内での議論と、市民に公開される情報の間で少なからず差異があることが判明した。具体的には後者においてパルチザン神話の称揚と歴史化が進められるのに対して、前者ではその言説が民族間の分断を深めることへの危惧を確認することが出来る。また前者においては、記念碑建立に際して共和国間での経費負担を巡る問題も取り上げられていた。 社会主義ユーゴスラヴィアでは第二次大戦期の民族間対立の詳細は秘匿されていたという見方が一般的であるが、本研究課題の見立て通り、当事者である退役軍人団体内部ではその経験が共有され、民族問題の再燃を回避する手立てが講じられていた。ただし60年代後半以降、戦争の記憶が薄れた後続世代の側から民族問題について公に論じる機会を求める声が高まっていく。その沸点が1971年の「クロアチアの春」と思われるが、そうした世代間の対立と断絶の様相についてはより詳細な史資料の検討が必要である。 また別の視角として、戦争経験を巡るジェンダー間での認識の差異に注目し、史資料の分析に取り組んだ。まず歴史的背景を詳らかにするため、第二次大戦期の政治環境下で女性がいかなる立場に置かれていたかまとめた上で、特に体制側との関係性に焦点を当てた報告をジェンダー史学会年次大会で行った。この研究成果を基に、戦後の退役軍人団体内部でいかなるジェンダー問題が生じたか検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究計画として予定していた研究状況の把握や史資料の収集などは順調に進んでいる。特に退役軍人団体の記念碑建立事業参画に関わる文書史料は(60年代に関しては)概ね入手することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
20204年度は収集した史資料を基に研究課題に即した投稿論文の執筆を進める。またより研究対象である退役軍人団体のより具体的な議論の内幕を探るため、研究対象地域を特定の都市に絞った上で、地方の文書館での史料収集に取り組むことも計画している。
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Causes of Carryover |
当初、2023年度の請求額は120万円だったが、航空券代金が高騰していたため、前倒し支払い額として60万円を新たに請求した。同年度冬(2月末)にクロアチアへ渡航したため、その旅費支出で前倒し分も使い切る予定であったが、立替払いだったこともあり2023年度の支出手続き締切に間に合わず、事務方と相談の上、残額は翌年度に繰り越した上で2024年度に入ってから上記の旅費分を支出依頼することになった。同年度も(2023年度の残額とは別に)120万円を請求しているが、主に物品費(書籍代)と旅費に充てる予定である。
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