2023 Fiscal Year Research-status Report
どこにでも届けられる巡回展とはどうあるべきか?:離島での実践と事例調査から探る
Project/Area Number |
23K12318
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
渡辺 友美 東海大学, 海洋学部, 講師 (80727446)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 巡回展 / 離島 / 過疎地域 / 自然史 / 展示開発 / サイエンスアウトリーチ / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
博物館が数多く設置された日本においても、博物館の設置のみならずそのアウトリーチ活動さえ享受できない地域は多い。博物館的な文化・教育活動が行き届かない離島などの地域にこそ巡回展実施の意義があるはずだが、そうした地域での巡回展実施は運搬方法や費用、実施場所等の制約から実施が困難であることも事実である。そこで本研究では、離島を含め“どこにでも”巡回可能な巡回展の形状を提示し、運営・活用・内容の視点からこれからの巡回展の在り方についての方法論を構築することを目的とする。 初年度である2023年度は、(1)離島などの地域における実践研究に関して、過疎化が進む山村地域集落である石川県白山市白峰地区にて、巡回展の実施を試みた。巡回展は教育機能だけでなく、地域住民の交流の場となるなど、巡回展の実施意義に関する興味深い結果が得られた。同時に、山間部への輸送は陸路であっても一定の制限があることが明らかとなった。また沖縄県の離島地域である西表島の学校教員及び石垣市役所、竹富町役場との打合せを行い、2024年度の実践に向けた各種調整と現地調査を行った。巡回展が離島特有の課題解決に繋がる可能性も明らかとなった。具体的な輸送手段の調査等を含め、実施に向けた準備を進めている。 (2)国内外の巡回展の動向調査に関しては、国内における巡回展の研究会等に参加し、自然史系の博物館が抱える巡回展の課題を把握し、今後の調査研究の基礎を形作ることができた。また国外の動向について、スコットランド国立博物館が開発し欧州を巡回中の自然史巡回展の受入現場視察を含め、欧州地域での巡回展の状況について、フィンランドにて現地調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度は、研究の基礎となる【A】国内外巡回展の動向の把握、及び【B】離島などでも実施しやすい巡回展の形状、運営要件、活用方法及び効果を探るための具体的な実践に着手することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は離島での初回実践を行う予定である。これらは受け入れ組織の状況によって、計画が変更される可能性もあるため、実施調整を密に行うことに加え、予定変更を余儀なくされる場合には実施可能なものから柔軟に進めることで、研究を滞りなく推進する。国内外調査については通年で継続するが、今年度は秋に実施される巡回展の国際会議にも参加し、国外巡回展に関しての情報収集を充実させる計画である。
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Causes of Carryover |
2023年度助成金の残額は、国内旅費の一部を別予算から計上できたこと、2024年度以降の外国旅費高騰を見越して2023年度の使用額を抑えたこと、予定していた備品の購入を次年度にずらしたことなどから発生した。これらは今後の研究計画を見越してのことであり、研究期間全体を通じて計画通りに使用していく予定である。
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Research Products
(1 results)