2023 Fiscal Year Research-status Report
気象データとセンシング技術に基づく米の食味の地図化とテロワールの解明
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23K12321
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
濱 侃 千葉大学, 大学院園芸学研究院, 助教 (10851579)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | リモートセンシング / テロワール / 食味 / タンパク質含有率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,気象データとリモートセンシングを用いた米の食味推定手法の確立とそれを用いた米のテロワール(食味の決め手になる自然環境の特性)の解明である。そのために,A. リモートセンシングを用いた玄米タンパク質推定手法の確立,B. 気象データを用いたアミロース推定手法の開発,C. 食味の評価手法の確立と食味の地図化,地域性・テロワールの解明,以上3点(A~C)の答えを出すことを目的とする。 2023年度は,目的Aの玄米タンパク質含有率推定手法の確立のために,2015年から観測を継続している千葉県の試験圃場の多年度の観測データを用いて,気象要素に起因する玄米タンパク質含有率の変動を解析した。その結果,登熟期の日射量が大きいほど玄米タンパク質含有率が低くなった。ただし,玄米タンパク質含有率の変動に対する気象要素の影響度は,ドローンを用いたリモートセンシングで得られる植生指数(正規化差植生指数:NDVI,正規化差緑植生指数:GNDVI)と比較すると小さかった。ドローンで得られる植生指数は稲体の窒素吸収量と密接に関係する指標であるため,玄米タンパク質含有率の変動において窒素吸収量が支配的な要因であるとする既報と整合的な結果となった。この成果は,2024年3月に開催された日本農業気象学会で発表した。 また,玄米タンパク質含有率推定において重要なドローンでの植生指数の観測データが,観測時の日射条件によって変動してしまうため,その補正のための研究にも着手した。具体的には,ドローンに搭載されている入射光センサーおよびマルチスペクトルカメラの観測値を放射照度などの物理量に換算するための実験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度取得したサンプルのアミロース含有量の分析委託費用を捻出することが出来ず,アミロース含有量推定モデルの作成が遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは昨年度のサンプルの成分分析を終わらせることを最優先に進める。食味推定モデルを作成した後は,そのモデルを検証するためのサンプルを確保する。また,作成したモデルを広域に拡張するための衛星データおよび気象データの収集を行う。
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