2023 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of Factors Contributing to the Formation of Proximate Coral Reef and Mangrove Environments in Micronesia
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23K12322
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
大谷 侑也 摂南大学, 国際学部, 講師 (10964231)
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Project Period (FY) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | サンゴ / マングローブ / 溶存鉄 / 栄養循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常、マングローブは河口付近の汽水域の濁った場所に生育するのに対し、サンゴ礁をつくる造礁サンゴは、体内に共生させている褐虫藻が光合成を必要とするため、太陽光が届く透明度の高い水域に発達する。しかし、南太平洋に位置するミクロネシア連邦のコスラエ島には、マングローブとサンゴ礁が密接に共存する特異な生態系が成立している。また、本地域ではマングローブ林の伐採が問題となっており、それが海洋酸性化を通してこの地域特有のサンゴ礁の骨格形成に悪影響を与えている可能性がある。 本研究の目的は、これまで明らかにされてこなかったコスラエ島特有の密接するサンゴ・マングローブ環境が成立する要因を両生態間の栄養循環の面から調査し、そしてその生態系がマングローブ林の伐採によってどのような影響が与えられているのかを検討・解明することである。本年度に行った調査ではコスラエ等南部の沿岸部に位置するウトウェ国立公園内にてマングローブの直下(1-3m程度)にサンゴ群落が形成されている事がわかった。また当該地域のマングローブ水路には茶褐色の油膜が確認され、これはマングローブ林から流出している可能性が高いことが現地での調査からわかった。この油膜には植物プランクトンが吸収する溶存鉄が含まれていることが研究代表者の過去の実験から分かっており、油膜が植物プランクトンを増やし、そのプランクトンがサンゴの栄養源となっている可能性が示唆された。2023年度の調査ではウトウェ国立公園内にて油膜のサンプリングを行い、2024年度に溶存鉄含有量の分析を実施する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2023年度の調査では当初計画していたマングローブ直下に形成されているサンゴについてその位置と規模を把握することができた。またマングローブ林から流出している油膜が調査地域にも存在していることが分かり、そのサンプリングを実施することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度では昨年度サンプリングした油膜サンプルの溶存鉄の分析を行う。また再度、ミクロネシアのコスラエに渡航し、浅海域のプランクトンの採取と、マングローブ林由来の油膜のサンプリングと流出経路・時間等を調査する予定である。
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Causes of Carryover |
2023年度における調査では現地での調査時期が年度の後半となってしまい、採取したサンプルの委託分析が間に合わず、その分の分析経費を次年度に繰り越したため。
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